« 朝めし | トップページ | 朝めし »

2004/01/31

朝めし

男…「明日への希望」とか「未来」とかいうけど、それはまず前の日に、明日の朝おきたら何を食べるかということから始まるんだね。

女…え~、そんなあ「明日」とか「未来」というのは、そんな近い日のことじゃないし、「希望」も朝ごはんのことじゃないでしょう。

男…いや、でも、明日朝おきたら何をくうかを考えないで、明日も未来も希望もヘチマもカボチャもナットウもない。明日朝おきたら何をくうかを考えると、まず生きていることが楽しくなるし明日が楽しみになる。

女…そんことありません、ああ、朝が来たら、また何かくわなくてはいけないメンドウだわと思うだけです。

男…では、あんたは将来への夢や希望はないのか。

女…それはありますが、それと朝ごはんは関係ないでしょう。

男…そういうこといっているやつには、未来はないね。すべては、朝めしから始まる。だいたいな、人間は寝ることで一度死ぬ、毎日一度は死んでるわけだ。それで、オフ状態になるだろ、で、おきればオンになるかというとならんのだよ、めしくってオンにして生き返らないと、その段階で夢も希望も消えるのさ。

女…それは極論でしょう。朝、目が覚めて、食事をしなくても、身体は生きてますわよ。

男…それは「生きている」ことを錯覚しているにすぎない、ただちにめしを食べなくてはならない。鳥や動物をみたまえ、おきたらすぐめしだ。それでイノチはリセットされる。人間の場合は、大脳がじゃまして、そうはいかない。朝おきたら心臓が動いていた、そこで「ああ生きている。このイノチに何かを与えなくては」と思わなくてはならない。しかし、そのとき何も食べるものがなかったら、どうする、イノチに対して失礼であろう。そういうイノチに失礼をはたらくやつが、明日だの希望だの未来だのを口にするなんてしゃらくせえ。

女…朝おきて、「ああ、まだ生きていたか、目覚めないで死んでいたらよかったのに」と思うことがあります。

男…そりゃ、こないだ、オトコにふられたときだろう。しかし、人間は、このサイトのメシゴトロジーのところにもあるが、山田風太郎さんが「最愛の人が死んだ日にも、人は飯を食う」と書いているように、そういうものなのだ。そういうものだから、前の日から翌日の朝めしを考えると、生きることが楽しくなるのさ。

女…ほんとでしょうか。

男…さあて、明日の朝めしは、何をたべよっかなあ。

| |

« 朝めし | トップページ | 朝めし »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 朝めし:

« 朝めし | トップページ | 朝めし »