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2004/05/15

魚肉ハムソーセージと思い出横丁

■ザ大衆食「新潟日報連載」を更新し「魚肉ハムソーセージ」を掲載

■6日の日記に「アバヨ!思い出横丁」を書いたが、昨夜、そこで飲んだ。

まずは、思い出横丁の大通り側にある、古本屋の天下堂書店で、オンナと待ち合わせ。名前は「天下堂」と大げさだが、1960年代のまんまの一間間口でまったく変わらないつくり、文庫本のある位置、エロ雑誌のある位置も変わらんね、ちがうのはマンガ本がふえたことか。店内の暗さもそのまんまじゃないのか、店番のオバサンはゴホンゴホン咳をして悪いビョーキがうつりそうな、あやしくも薄暗い。イヤ蛍光灯になって明るいはずだが、壁や天井が、なぜか60年代に薄暗い、そこだけが、通りの雑踏喧騒から取り残されたような静けさ不思議。

オンナを待つあいだに、相原コージの『文化人類ぎゃぐ』200円を買ってしまった。1985~6年の若者風俗が思い出されていとおかし。「労働者」は「市民」になり、「消費者」は「生活者」になり、「若者たち」は「ヤング」や「シティ・ボーイ」や「シティ・ガール」になった時代、労働者や田舎者が、借金バブル成金の労働者や田舎者=市民によって、とことんバカにされた時代だった。

オンナあらわれ、不倫カップルとなったワレワレは、まずは岐阜屋へ。大盛況のなか、ちょうど2人分のイスが確保できた。ヤキソバ、キクラゲ玉子炒めにビールと酎ハイ。おおっ、ここには労働者がいるぞ、イヤ労働者だらけで、市民を気どるやつなんかいない。しかし、男同士2人で飲むのって、けっこういるんだなあ、しかも仲よさそうに飲んでるぜ。ここのキクラゲ玉子炒め、はじめて食べたけど、なかなかよいね。

さあデハ、つぎ、きくや。ナント、満席で座れない。ま、けっこうけっこう。じゃ、しかたない、デカイ店に行けば2人ぐらい座れるだろう、ボルガへでも行くか。と、オンナいわく、あそこはちょっと今夜は知り合いがいるようでマズイ。そうかそうかワレワレは世を忍ぶ不倫カップルなのだった、デハ、鳥園へ。

うへぇ、ここも一杯だよ。デモ、大きな店だから、中国人店員さんが上手に客をつめ、2人分席をつくってくれた。酎ハイにレモンハイ、トマトに煮込み。しかし、ここも労働者だらけだ。自意識過剰のひねた市民も、ここではおおらかな労働者の姿になるね。で、まあ喧騒すさましく、オンナとオレは顔をよせあい声をはりあげないと話ができない。おれたちだけではない、みんな声をはりあげてシャベッテいる。オンナいわく「酒を飲むと耳がとおくなるのかしら?」「うーむ、血圧があがって、そうなることがあるかもね、でも、これは、単なる元気というものではないだろうか」

ワレワレはさきほどから周囲の喧騒をものともせず「夕暮れどきに飲む酒は独特の気分である、なぜか?」「やきそばやたこ焼など、ガキのころオモチャだった食べ物が、オトナになるとビールのつまみになってしまう豊かさ、なぜか?」などについて語り合っていた、と、とつじょ、拍手がまきおこる。ナンダナンダ、ナニゴトだ。人びとの目線を追うとテレビが。女子バレーが韓国を下した瞬間だった。ワレワレは2人だけの不倫な世界に埋没していたから気がつかなかったが、そうかバレーの試合を、飲みながらシャベリながら観戦していた人たちがいたのだ。そういや、1人だけの客も、けっこういるしな。長く続く拍手にワレワレも参加。いやあ、いいねえ、ここにいるとココロが素直にあたたくなりますよ。元気がわきますよ。

そしてオンナとオレは新宿駅西口改札口でわかれたのだった。人ごみのなかへ消えていくオンナ。思い出横丁がなくなったら、新宿は新宿でなくなる。

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