BOOKMANな人びと・濱田研吾の本の巻
昨夜、フラリ、根津のcafe NOMADで開催されている内澤旬子展へ行った。着いたのは、8時近かったと思うが、グウゼン会場で濱田研吾さんに会った。んで、トウゼン、飲みに行った。飲み屋は、古いうまい大衆食堂「かめや」の隣の「車屋」である。ここは何度か、「かめや」のあと入ったことがある居酒屋で、なかなか肴のよいところだ。値段もリーズナブルで気に入っているのだ。11時過ぎまで、濱田さんと飲み話し込んだ。
それはともかく。濱田さんは、昨年末、晶文社から『徳川夢声と出会った』という本を出している。徳川夢声といえば、おれがガキのころラジオやテレビで活躍していたひとだ。かなりの有名人だったが、それでも、月日がたったいまは、おれは「ああ、そういえば、そういうひとがいたな~」としか思い出さない。
ところが、その夢声について、おれの子供のようなトシの1974年生まれの濱田さんが調べて書いたのである。なんで、あんたみたいな若いもんが夢声に興味をもつのじゃ! そう思った。
ま、とにかく読んでよ、この本。歴史上の人物、むかし活躍した人の話には関心が集まるわりには、現代の人びとについての関心はイマイチだと思う。だから「評伝」といえば、売れない本のことらしい。しかし、イマ生きている時代と人のことを書き残す作業こそ「歴史」だろう。「評伝」は、じつは「歴史」なのだ。
濱田さんは大学生のとき夢声に興味を持ち、ついに、この本に到達した。つまり本の動機は「売れそう」ということではなく、人物への興味そのものなのである。それは、この本を読んでもらえば、わかる。
若いもんは、このように熱中してほしいし、出版社も「ショーバイ」の作家の作品だけでなく、このように興味が呼吸している本を出して欲しいものだ。
■本から「濱田研吾」
1974年大阪府生まれ。京都造形芸術大学芸術学科卒業。現在、都内の編集プロダクションに勤務し、企業PR誌の編集や執筆を生業とするかたわら、昭和を彩る名優や放送タレントについて探究。滝沢修や徳川夢声を取り上げたミニコミ誌を発行している。
■本の腰巻から
「雑の人」夢声、再発見。
夢声なき後に生まれた若者が、
明治生まれのマルチタレント、
大衆芸能を牽引した神さまを甦らす。
古本、ラジオの録音、映画など、いまに残る夢声の足跡を
丹念に追った、書き下ろしノンフィクション。
■本文から
路上観察学会の仕事でお世話になっている林丈二さんが、ぼくのことを「孤独な作業“徳川夢声の缶詰”作り」と評してくれた。
■ご参考
http://www.shobunsha.co.jp/html/sinkan/2k3-12-004t.html
http://www.maboroshi-ch.com/cha/sae_19.htm
■『徳川夢声と出会った』定価2000円
晶文社サイト
http://www.shobunsha.co.jp/
■内澤旬子展は、6月1日までやっています。いい時と出会いのために、行きましょう。
https://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2004/05/post_12.html
これだけでも一見の価値あり。高度な現代風俗批評そして芸術か。愛をこめて「おやじがき」
■「BOOKMANな人びと」次回は、イヨイヨ、荻原魚雷さんの登場です。荻原さんが編者の『吉行淳之介エッセイ・コレクション』ちくま文庫は、この5月、全4巻刊行なった。よろしく~。
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