くたばれ! コンサルタント
ちょっと前のことになるが、ある地方の町へ行った。そんなに有名ではないが、温泉があるので、駅前には、一軒だけ土産物屋がある。
まだ寒いときだったので入ろうとしてガラス戸をあけた瞬間、「いらっしゃいませ、こんにちわ」という声があった。おれは、ギョッとした。この挨拶は、都会地の多くのチェーン店で、コンビニやファーストフード系居酒屋系のたぐいの店で、日ごろはそんな挨拶をしそうにないネエチャンやニイチャンが平気で発している下劣なものではないか。ただでさえ、この挨拶には、事務的でうんざりしている。
方言が活躍する田舎町のことで、そのへんでは、日常そんな挨拶をするところではない。実際、前に入ったときには、そんな挨拶はなかった。見れば声を発したのは、カウンターのところに立っている、髪をギュッとしぼっただけの近所の農家から手伝いに来たような風貌の、中年のオバサンである。
店内の陳列も、以前のように、雑多な土産物屋らしい雰囲気はなくなり、コンビニの棚のように整理されている。あきらかに、コンサルタントの「指導」のニオイがした。
でもまあ、ちょっと買いたいものがあったので、棚を見ていると。旅行客が1人入ってきて「○○ありますか」と聞いた。
すると。オバサンは、ちょっと考えていたが、店の奥に向かって「とうちゃーーん、お客さんが、○○あるかってんだけどお、おらにはわからんて~」というたぐいのことを、その土地の言葉とイントネーションで叫んだのである。
おれは、笑ったよ。
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