« 北朝鮮のコンビニ、とな? | トップページ | 料理といふもの。実践と理論。 »

2004/08/20

ニッポンのめしの歴史そして江原恵

■『日本人は蕎麦のことを何も知らない』(2003/10 学習研究社)なーんていう本が、あるのだなあ。はあ、「ニッポンのめし」のことだって、何も知らないにひとしいような気もするなあ。

■うれしいね、江原恵さんの『庖丁文化論』の話題だ。トラックバックの項の最新に、「即席浮月旅團」さんからの「江原恵『庖丁文化論』2つの版」がある。たどると、8月19日は「江原恵『庖丁文化論』3」だ。
http://doctor-mirabilis.pseudo-poseidonios.net/sokuseki/archives/2004/08/_3.html

「遠藤哲夫も書いているように、『庖丁文化論』が江湖に送られて来 30 年になる本年、復刻の兆しはないものだろうか」とな。そう願いたい。30年前以上に、イマ、必要のような気がする。「ニッポンのめし」について知るためにも。

続いて即席浮月旅團さんでは、こうおっしゃる。「そういえば、江原著作の最後期は 90 年代より幾分前(88 年くらい)ではなかったかと思う」

たしかに、そういえるだろう。1986年(昭和61)『料理の消えた台所』、1988年(昭和63)『家庭料理をおいしくしたい』あたりがピーク。で、生活料理学的な系統では、1990年(昭和65)の『辰巳浜子―家庭料理を究める』(1990年9月30日発行 リブロポート シリーズ民間日本学者)が最後になると見てよいのではないか。

その『辰巳浜子―家庭料理を究める』の奥付にある著者略歴の肩書には、「食文化史家・中京女子大学講師」とある。記憶で書くが、中京女子大学講師は、80-83年に生活料理研究所を一緒にやっていたころ、すでにそうだった。最初は、その肩書の通り「講師」だったが、やがて、「教授」待遇の講師になる。そのころから、江原さんは、「食文化史研究」に「本格的」に取り組むことを決意したようだった。それは、1986年(昭和61)河出書房新社から発刊された『江戸料理史・考-日本料理【草創期】』が好評だったことも関係するだろう。この本で「食文化史家」を自覚したといえる。

生活料理の実践と理論の展開は、個人ではちょっとゆきづまった感じもあったし、『庖丁文化論』の原点に立ち返れば、もう1つの課題、始まったばかりの日本の食文化史研究が手付かずのままだった。そして、『江戸料理史・考』は草創期のあとの展開の構想があった。その一端で、91年に三一書房から『料理物語・考』を刊行している。

『江戸料理史・考』は草創期のつぎは、1995年ごろ原稿ができて河出書房新社に持ち込まれ、たしか初校が出る状態にまでなったと思うが、江原さんは作業を続けるのが困難な状態にあった。

| |

« 北朝鮮のコンビニ、とな? | トップページ | 料理といふもの。実践と理論。 »

コメント

エンテツさん

>「ここに記載の料理は家庭からは消えてしまった」という断定は、ちょっとね、困りますね。自分で作ればよいのであって、

あはは!そうですね、うちの連れ合いが作らないだけでして、世間の事情とは違いますよね。
せっかくいいテキストがあるんだし、よーし、おいらも作ってみるかあ。

投稿: MSHIBATA | 2004/08/22 09:57

シバタさん、コメントありがとうございます。
やっと、少し、すごしやすくなりましたなあ。

>ちょっとわかりずらいのですが、『辰巳浜子―家庭料理を究める』の奥付をみると・・・からするとこの本は江原さんの著作ということですね。

っての、その前の段落をごらんいただけば、わかると思いますが、これは江原恵さんの生活料理学の系統としては、最後の著作になると見てよいのではないかと……

「ここに記載の料理は家庭からは消えてしまった」という断定は、ちょっとね、困りますね。自分で作ればよいのであって、少なくとも、私は、いくつか作っているし、よく食べられているものがあると思いますが。夏、焼き味噌なんか、うちの田舎でも、よく食べられているし、私も、コレで飲むのが好きです。

とにかく、辰巳浜子の著書にあるものは、材料の生産事情がちがってしまったものがありますが、それによって、たとえばオクラなど手に入りやすくなったものもあるし、家庭で作れるものばかり(プロの調理環境は必要ない)ですから、本を見たら、自分で作ってみるのが、カンジンじゃないかと思うのですが。ってことで、やってみてください。誰かがやっていれば、その料理は「消えてしまった」ことになりませんから、消さないためには、やることです。


投稿: エンテツ | 2004/08/22 09:39

エンテツさん、こんにちは。
ちょっとわかりずらいのですが、『辰巳浜子―家庭料理を究める』の奥付をみると・・・からするとこの本は江原さんの著作ということですね。
ところで、昔から食に興味があったもんで辰巳浜子著「料理歳時記」(1973年、中央公論社)が当方の本棚にあります。ここに記載の料理は家庭からは消えてしまった。神戸だとニ宮の藤原に行けば口にできるかなあ。

投稿: MSHIBATA | 2004/08/22 08:42

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ニッポンのめしの歴史そして江原恵:

« 北朝鮮のコンビニ、とな? | トップページ | 料理といふもの。実践と理論。 »