やれやれ、オレはオレの山
木もれ日さえとどかない、原生林と原生林化しつつある元原生林の人工林のなかを、哲学もせずに歩いたぜ。キリスト教徒たちが森林をアメリカンな牧場に変え、カッコイイ破壊の勢力をほこり棲息していたぜ。その近くには、歴代の為政者たちによって「我慢」と「忍耐」で惨めったらしく育て上げられた農民たちが、工場生産のように野菜をつくる畑も、広がっていたぜ。みんな「自然」をウリにしていたが、縄文時代や石器時代のように生産している連中なんか、誰もいねえよ。コンクリートと鉄と石油、ナシじゃ、やれないのさ。
泊まろうと思っていた高級ホテルは一杯だった。しかたがない、ビンボウ人たちで一杯の安ホテルに泊まったぜ。表示違反に問われることのない見た目はコギレイな、安直「バイキング」や安直「懐石料理」を、高い生ビールと清酒でタンノウしたぜ。
都会のプチインテリ女にセレブな幻想を売る商売で儲けている古い仕事仲間と、小川のせせらぎの音や鳥のさえずりが絶えない林のなかの彼の店で会い、ビンボウ談義をしたぜ。儲けるには、「負け組」ビンボウ系に夢を売るか、「勝ち組」プチブル系に幻想を売るかだね。ヨミウリ型か、アサヒ型か、ともいえるかな。いまどきのインテリは、学者だのブンカ人だのなんかとくにそうだけど、あまりオリコウじゃないから、商売しやすいねえ、さからわず、おだてりゃ、いいの。いやあ、そりゃちょっと、でも、ほんと。あははははは。しょせんみなビンボウ、小さなコップのなかで背伸びし無理を続ける、アメリカの属国日本貧乏物語だなあ。あははははは。日本文化は見栄文化だよ、ビンボウ性なのさ、見栄を刺激してカネを吐き出させればよいのさ、むかしもいまも同じ。
林の中をよくみれば、そこかしこに埋もれて、別荘や店舗の残骸。で、こんどは何の本を出したの? ビンボウ人の汁かけめし。あははははは、そいつはいいや、あなたにピッタリだ、一発あてて、ウチの商品の安いのを1つぐらい買ってよ。いやいや、ほら「夢」も「幻想」もない内容だから、それに、おれはね、ビンボウが趣味だから。そっ、むかしからな。あははははは。
仰げば、おれがかつて春夏秋冬入りびたり、忍者のごとく縦横にかけめぐった山塊は、オレはオレと悠々とそびえていた。ように見えたぜ。
さよなら山よ ごきげんよろしゅう また会うときには 笑ろうておくれ
ま、2日間歩きすぎて疲れが残り、あと一日へたっていた。ということ。
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