「書評のメルマガ」に「有元葉子の料理の基本」
「食の本つまみぐい」を掲載した書評のメルマガvol.183が配信された。今回は、有元葉子さんの「有元葉子の料理の基本」である。
だいぶ前、1970年代に、とくに台所と台所道具の歴史について書きまくった、栄久庵憲司さんが指摘しているが。むかしから、台所は道具も含めて、より現実的に、より合理的に、ようするに簡単便利にと、進化あるいは変化してきている。それにしたがい料理術も変わっている。
その関係は、まだ整理されていないのだが。料理術の変化が道具の変化を促すこともあると考えられるが、わかりやすいのは、台所や道具が変わることによって料理術は必ず変わるということだ。
そして台所や道具が変わっても料理術はすぐ変わるわけではなく、ちょっと時間がずれて、つまりしばらくは従来の料理術でやりながら、新しい台所や道具を受け入れ料理術が変わっていく、という流れがあるようだ。台所や道具のハードが変わる時期と、それを使った料理術のソフトが変わる時期が、そう明確な区分があるわけじゃないが、交互にあるようである。
そういう流れを見ると、ここ半世紀に日本の台所で起きた、座ってやる台所作業から立ってやる台所作業、井戸や汲み水や薪でやる作業から水道ガス電気をつかう作業への変化は、日本の有史以来といってよい大変化である。ま、現代日本人は、台所の歴史から見たら、めったにない大変化のなかにいるのだ。その自覚が、ちょっと足りないような気もするが、ま、それはいいだろう。
で、そのハードの大変化は、戦後に始まり、ほぼ1970年ごろに完了するのだが、料理術のほうは従来のままであった。だいたい1980年代ぐらいまでは従来のままであったとみてよいだろう。そして1990年代ぐらいから目立った変化がみられる。
ということで、有元葉子さんの「有元葉子の料理の基本」を取り上げてみた。
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