« 印象的な、台東区の、食堂筑波 | トップページ | 納豆汁ぶっかけめし »

2004/11/06

『汁かけめし快食學』オッ声 13

■「最近のトラックバック」にある「月球儀通信」さんの日記には、おでんの汁をめしにかけて食べるのが好きだという話がある。
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2004/11/post.html

ホント、これはうまい。それを読んで、昨晩は早速おでんをつくり、今朝はその汁をかけて食べた。食べながら、たしか東陽片岡さんのマンガにも、おでんやのオヤジが汁をめしにかけて食べると「死ぬほどうまい」話をしていたのを思いだした。ウメエウメエ。

しかし、かつて高校生のころには、めしを朝から3杯食べ、夕飯には5杯は食べるのがフツウという生活で成長したおれの「気取るな、力強くめしをくえ。」には、めしに執着してきた大衆の業がこもっているのかも知れんなあ。めしを語るときは、イツモの沈着平静冷静クールなニヒルな男よ、というかんじにはいかない。さあ、さらに「汁かけめし快食學」を読んで、ガツンとめしを食べ、風邪にかからないようにしよう!

■ひさしぶりに検索してみたら、「私の食べ歩き日記」の9月11日に、「汁かけめし快食學」を読んでの文があるのが見つかった。
http://www.age.jp/~fir/2004_C/2004_C001.htm

この日記は比較的よく見ていて、前にもここでふれてリンクしたような記憶があるが、この記事は見逃していたようだ。この方は、料理を批評することは、どういうことか、という思索を重ねながら書いているところが特徴で、好ましい。

とにかく、おれもサイトや当日記の文章が長いと文句をいわれることがあるが、この方の文章も長い方で、ま、おれとしてはこういう方がいると心強い。アクセス数を上げるためには、何文字以下で短い方がよい、ナーンテの、気持はわからんでないが、それじゃ秒単位で視聴率を気にしながら、視聴率の稼げるキーワードをならべて番組をつくる、悪徳テレビ局とおなじになることになるのじゃないかなあ、と思う。

それで、この方のこの文は、まず長さにおいていままでの最長であり、もちろん、内容も丁寧かつ熱がこもっている。またその内容は、「汁かけめし快食學」がカレーライスについて述べている部分に詳しくふれている点に特徴がある。なかなかね、汁かけめしの話はオモシロイけど、この「カレーライス問題」は、やはりそうはいってもアレは伝来だよね、という蓋然的な空気があって、なんとなく知らん顔されがちなのだが、この方の場合はちがう。なかなかこの方らしい思索に富んだ内容だ。

■もう一つ、こういうのを見つけた。

「遠藤哲夫『汁かけめし快食學』(2004年7月7日刊行,ちくま文庫,ISBN: 4-480-03978-3)を速攻ほぼ読了.ノイズの多い文体やね.もっとストレートに書かないとね.椎名誠の名著『全日本食えばわかる図鑑』の方が食欲直撃だったなあ(シソ肉バター丼とかね).食いもんの本は最節約的に書くべし」
http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/diary2004-08.html##07

椎名誠さんと比較されるとうれし困ったな、である。「ノイズの多い文体」というのは、自分のが成功しているとは思わないが、本で字数制限がゆるい場合は、なるべくノイズぶちこみ猥雑体の文章、まあ「ゴミ捨て場に宝」というかんじが望ましいなあと思って書いているから、トウゼンなのだ。「食いもんの本は最節約的に書くべし」というのは、わからなくはないが、「食いもんの本」イコール「うまいもの話」と決まっているわけではないから、ときと場合、好き好きだろう。

しかし、いつものことだが、おれの文章は、マズイ大衆食堂のように、あまりプロのような向上心はないから当然ヘタクソであり、批判や嫌悪は少なくないのだね。でも、今回はまだ「下品」という声は聞かない。「下品」といわれるとウレシイのだが。

ついでながら、「食いもんの本」イコール「うまいもの話」というのが、もっとも一般的な「グルメ」な読者の期待だろうが、それは食いもんのきわめて偏った一面的な楽しみにすぎない。食の話というとうまいもの話にだけ興じてきた、これまでの「グルメの時代」は、もういいかげんでのりこえる必要があると思う。


| |

« 印象的な、台東区の、食堂筑波 | トップページ | 納豆汁ぶっかけめし »

コメント

上野さん、コメントありがとうございます。
食のたのしみは、まだまだ深いものがあるのに、「おれはうまいもの知っているぜ」「いい店しっているぜ」式の話ばかりで、ほんとに困ったものです。

投稿: エンテツ | 2004/11/14 09:00

>「食いもんの本」イコール「うまいもの話」というのが、もっとも一般的な「グルメ」な読者の期待だろうが、それは食いもんのきわめて偏った一面的な楽しみにすぎない。食の話というとうまいもの話にだけ興じてきた、これまでの「グルメの時代」は、もういいかげんでのりこえる必要があると思う。

たしかに、一面的。丸谷才一、吉田健一、吉行淳之介、重金敦之などなど「うまいもの」「高級」=「すしを極める」ばかり。

投稿: 上野朝夫 | 2004/11/12 14:20

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『汁かけめし快食學』オッ声 13:

« 印象的な、台東区の、食堂筑波 | トップページ | 納豆汁ぶっかけめし »