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2005/07/09

どううまく食べるかのコダワリしかない

江原恵さんと山本益博さんは、「料理とは食べる技術である」テナことを考えた点において共通している。が、その内容や方法は、かなり違うようだ。

山本益博さんは、けっきょく、言い古された月並みな、「素材の質が料理の質を決定する」テナことである。カネがたくさんあるほうが絶対的に有利な「美食」の追求だ。しかし、江原恵さんは、「ありふれたものを美味しく」テナことで、貧乏人でもできる「美味」の追求だ。

ちかごろは、頭が痛くなるほど、スーパーの店頭にならぶ素材の質が悪い。しかも、値段が高い。ほんの2、3年前と同じカネでも、かなり質の悪いものか、質が同じていどだとしたら量の少ないものしか買えない。もう暴動したいほど頭にきている。この世はドンドン闇だ。

てえ、ことで、昨日はアレコレやっていたので、6時ごろになってから、近所のC級スーパーへ買物に行った。たいしたことない野菜売場、たいしたことない肉魚売場……見ても買う気がおきない。ピーマン4個一袋にレモン2個一袋、ベーコンと豆腐、なぜそれを買ったかわからない。たいがいメニューを考えずに買物をする。

それぐらいしか買ってみようかと思うものがなかったのだろう。売り場を歩いているうちに気分が沈滞してくる、が、酒売場でトツゼン脳が活性化し、アレコレソレコレ迷った末に、ビール6缶ケースと500円弱のオーストラリア産ワイン「ハーディ」の赤を買ってしまった。ようするに酒を買いに行っただけというカタチでもどり、台所の残り物をながめ、ハテ、何をつくるか考えた。

冷や飯が残っている、タマネギ一つ、冷蔵庫には非産地ブランドの鶏肉ぶつ切り6個とトマト1個。つかえそうなのはそれだけ。そうそう、あと、たいしたことないベランダで、同居のツマが栽培している、たいしたことないハーブのなかのバジルを収穫しなくてはならないから、それを使った料理をするように厳命されていた。

山本益博さんのセンなら、お話にならない状況だ。しばし考える。ここで、「ありふれたものを美味しく」の貧乏人の美味学のココロザシがものを言う、ね。

ルクルーゼではない名もなき厚手のホーロー鍋に、薄切りタマネギ、鶏肉、ベーコン、塩コショウして、バターを少々おき、ふたをして中火で蒸す。蒸気が出て匂いがしてきたところで、冷や飯を入れ、ピーマン刻んだのとバジルのちぎったのをふりかけ、またふたをして少々蒸す。そしてふたをとると、なーんとイイ匂い、気分は高揚、レモン半分しぼった汁をまわしかけ、弱火で水分をとばしながらかき混ぜ、大皿に盛る。トマトを切ってそえる。安物赤ワインをあける。がははははははは。

やっぱ、料理は「ありふれたものを美味しく」だよなあ。
友よ、闇は続く。明けない夜はないが、社会の闇は明けるとはかぎらない。ココロザシだ。

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コメント

どーも、pfaelzerweinさん。そういう番組があるんですか。

しかし、まあ、「男の料理」というか「やけくそ料理」というかんじで。甲類焼酎のウーロン茶割をテキトウに飲みながらやっています。しかし、これがアンガイうまくいくんですね。

バーディの赤を飲んでるなんて、恥をさらすようなものですが。これが500円ぐらいで買えるのは、このへんでは近所のC級スーパーだけでして、500円以下ワインとなるとコレにコダワル日常であります。やれやれ、コダワリにしては、さみしいか。

投稿: エンテツ | 2005/07/10 00:17

エンテツさん、これは男の料理という感じです。こちらの人気料理TV番組にもゲストを呼んで親爺が飲みながらというのがあります。まさにこの感じで、匂いがしてきたところで既に大分飲んでますね。

パエリア風というか、ワインが旨い。

投稿: pfaelzerwein | 2005/07/09 17:11

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