欧米型の食生活って、なんじゃらほい
ちかごろとくに「欧米型の食生活」という表現を目にする。たいがい、悪を意味する。たとえば「脳梗塞は欧米型の食生活の普及や高齢化で増える傾向にあります」といったぐあいだ。
こういうことを、お医者様やお栄養士様、大新聞に登場するようなセンセイ方がいうと、トウゼン大衆は信用する。だけど、「欧米型の食生活」に関する共通の理解は、あるのだろうか。ないとしたら、医者や専門家たちは、まったく用をなしていないことになるどころか、混乱のタネをばらまいているだけ、ということになる。それは、製品にたとえれば、欠陥商品を売る行為に同じだろう。そして、たぶん、いや、確実に、共通の理解はない。
「欧米型の食生活」といった場合、素材ベースで肉や油脂の使用量が多い、料理ベースで肉や油脂を多用しかつ油脂の摂取が多くなるような調理法である、そして摂取ベースで高カロリーである、というイメージか。ははあ、肉がごちそうだった、あの昭和30年代の「日本型の食生活」になれば、いいのね。
「食生活」というと、生活スタイルも関係するよなあ。あの昭和30年代の生活スタイル、となるとテーブルにイスの生活をやめ、畳の部屋で座ってちゃぶ台にむかって食事だね。いいなあ、めしくいながらテレビを見るなんてのもないぜ。職住接近だったし、肥やしのニオイが街に漂うぐらい、産住接近だったし。ああ、毎日ハクサイの漬物さえあれば、何杯でもめしをくえた。
あれっ、しかし、そういう食生活って遅れた食生活、日本人の健康を著しく損なうってことで否定されたんじゃなかったのかな。ほらほら「新生活運動」なんてのもあってさあ、カマドはなくなり、囲炉裏で火をたくのは不衛生ってことになり、座って作業する台所は立って作業するようになり、そしておいしく肉を食べる方法も普及したのだよねえ。
かりに、その「日本型の食生活」がよいものだとして、それ自体が、またアイマイだろう。まずは、肉や油脂の摂取をやめるとしよう。キンピラは、油をつかわないでつくりましょう。とん汁なんて、とんでもない。ラーメン食べるな、あれっラーメンは欧米型? そうだ、牛馬豚鶏の生産禁止にすれば簡単だ。テンプラ食べたら、死刑! 卵ぶっかけめし、死刑!
そんな「日本型の食生活」は現実可能だろうか。なりっこないじゃないの。いまの日本の食生活は、経済や産業の実態の反映でもあるのだ。
しかし、いまのおれたちの食生活って、ホントウに「欧米型」なのかい? これは単なる現代日本食で、いつの時代の食生活も経済や産業の実態に即して現実的であり、長短あったのじゃないかなあ。それを「欧米型」「日本型」で片付けるなんて、専門家としてオカシイぞ。
ああ、ぐちゃぐちゃいわずに結論だ。「欧米型」「日本型」という認識そのものが、現実的じゃないのだ。なんという雑な認識だろうか。
で、もっとも言いたいのは、これだ。いま医療制度改革だのといって、まずは老人医療費の本人負担を増やそうということだが、欠陥商品のようなことを言ったりやったりで高額のカネを稼いでいる医者をモンダイにしなくていいのか、ってことなのだ。あの高額な報酬は正当なのか。なぜ医者の団体が自民党に多額の献金をするのだ。あんたらこそ、おれの高血圧の原因だ。うううううううっ、血圧があがったぞ。
ああ、なんだか今日は、やけくそオモシロイ。
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コメント
ブッシュドクターさん、反論ありがとうございます。こういう「収入」の話しは、当事者と負担するほうとでは、かなり感覚的なズレがあるので、難しいのですが。ま、ある程度は、医師の収入実態は知っているつもりで書いています。医師といってもイロイロで、ここで話題にした医師は、稼ぎまくっている方でしょうし、なかには医療行為はしないで「医学博士」という肩書で稼いでいるひともいるようだし。
このときは、たしか、日本医師会の植松会長が厚生労働大臣に、診療報酬の引き上げを要求した記事を何かで見たあとだったので、ハズミでこういう表現になってしまったような気もします。
ひとさまの収入のことをアレコレいうのは、お互いに足をひっぱることになるので、よくないとは思いますが。年寄りのいる田舎じゃ、年寄りの老後の貯えは、病気の連続で目減りするばかりで、目立つのは新築の医者の豪邸ばかりというのも実態で、こういうことを言ってしまいました。ゴカンベンを。
投稿: エンテツ | 2005/10/20 00:24
ちょろっと反論。
医者の高額報酬って、具体的にどれくらいか御存知でしょうか。
公的医療機関の場合、ほとんど経営的には赤字なんですよ。
あなたが払う医療費が、そのまま医者の懐に入る、なんて思ってません?
エンテツ先生ほどの方が、
世間の(=マスゴミの)イメージだけでモノを言っちゃだめですよ。
また最近の医師会は、ほとんど圧力ロビーとしては機能していません(献金だけは続けているみたいですがw)。
投稿: ブッシュドクター | 2005/10/19 20:20
たけさん、どーも、お久しぶりです。という感じですね。たけさんのブログで、韓国の「飯入れ汁」の話、拝見していました。おもしろいですねえ。
日本でも汁に飯を入れるのはあるのですが、どちらにせよ、韓国では汁とめしを一緒に混ぜて食べるのが上流の作法で、「下流」ほど汁とめしを別々に食べ、めしを一粒も残さないほどイッパイ食べるのだ。とか、韓国の「大衆食堂」といわれる、「まきすし屋」で働いていた大衆食の会のひとが言っていましたが。
似て非なるもの、しかも正反対の文化価値、っていう感じがありますよね。もしかして、中華に対して文化的な「辺境」へいくほど、「原形」を保っている、ということもあるのでしょうか。
とにかく、オモシロイ。
投稿: エンテツ | 2005/10/18 00:34
エンテツさん。ごぶさた。
ソウルに行って来ました。この国は、サラリーマンの昼飯や女子高生のファーストフードもまさしく「韓国型」の食なんですが、日式という日本食(すし、うどん、・・・とくにトンカツ)がはやっているみたいです。こちらでも韓国料理がはやっていてなんとなくシームレスな両国なんですが、似て非なるもので、反対のところは決定的に反対。
あちらでは”汁かけ飯”でなく”飯入れ汁”なのです。
投稿: たけ | 2005/10/18 00:05
もうホント、信じられないぐらいイイカゲンな話が新聞に載ります。載せる編集者もモンダイだと思いますが。いつまでたっても変わらない。
「日本型」はゼッタイよいという話を信じて、最近では、肉でなけりゃいいんだろうと、豆腐や納豆を食べ、するとどうしても摂取量がふえるものだから、さらにタンパク過多カロリー過多になるといった問題もおきています。やれやれです。
投稿: エンテツ | 2005/10/17 16:13
「欧米型」-なんか可笑しい分類ですね。「日本食は塩分を摂取過ぎる」というのはどうなりました。これは日本型でないですか?
胃癌が減って大腸・直腸癌へ、脳梗塞・心筋梗塞ということなんでしょうか。
肉食は最も手っ取りはやい栄養源であると思うのですが、肉を減らしても栄養が取れる「満足出来る食生活」が出来る見通しがあるかどうかですね。なにせ牛丼だけでも大問題だったようですから。力仕事が減ってきているので可能とは思うのですが、何時も書いておられるように食料の供給という政策にも関わるのでしょう。
投稿: pfaelzerwein | 2005/10/17 14:43