ピッケル
午前中に昨夜書き上げた「談」の原稿をメールで送ると、まもなく佐藤編集長から電話があって「エンテツさん、あんな原稿じゃつかえませんよ、もっとちゃんと書いてくださいよ、このボケ」と言われて目が覚めたら電話が鳴っているので出たら佐藤編集長からでOKの知らせ。やれやれと思ったが、これですべて片づいたわけじゃないんだよな。と、しかしつぎにかかる気もおきず、とりあえず酒を飲んで、酒を飲んで。
若い頃は、いまごろになると血が騒ぎ、まってましたとばかり山やスキーへ行って、山の中で正月がフツウだったのだがなあ。あんな寒い中へよく行ったものだ、いまじゃとても行く気がしないよ。
はて、一番最後の雪山の正月はいつだったか。このあいだ掃除のとき、ひさしぶりにピッケルをひっぱりだして見たら、ピックとかブレードとよぶ頭のほうは、磨いてサビ止めして革カバーをしておいたから、ピカピカのまま(写真はクリック地獄で拡大。ピカピカのおかげで写りこみがあってサビているように見えるけど)。石突とよぶ下のとがったほうは、サビ止めしてなかったから、腐るほどじゃないがサビていた。
これは、たしか高校のころから数えて三本目で、30歳中ごろに買ったような気がするのだが。そのころは、もう木のシャフトは時代遅れになりつつあった。でも、なんとなく木のシャフトから離れがたく買ってしまった。木のシャフトは最初は白木のような色しているけど、アマニ油を塗って使い込むほどにアメ色になっていくのがいいんだよね。これで、何回どこへ行ったか、もう忘れてしまった。たしか使ったのは、40歳ごろが最後かな? そのあとは仕事とオンナが忙しくなってしまって……なんてね、カネとヒマが山までまわらなくなって。あのころの持ち物で残っているのは、若干の本以外は、これぐらいのものか。なんでも、パッパッ捨ててきたけど、これは捨てなかったのだな。
STUBAI NangaParbat Extrem MADE IN AUSTRIA オーストリア製 ナンガパルバット社 スチュバイ ってことだが。どうってことない普及品。でも久しぶりに、これを撫でていると、なんかエエなあ。でも、もう、この寒さのなか山へ行こうという気はおきないね。あったかいところで酒飲んでいたほうがいい。堕落したなあ。
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コメント
これは、ほんとよく売れていたと思います。本当は、これより上のクラス、名前忘れましたが、国産有名ブランドがあって、あと外国産だとシャモニだったかな、あって、そのへん高くて手が出ない、かといって、これより安くなるとエバニューとか、いかにも工業製品っぽくて、実際ピックが折れる事故があったりで、ま、このへんに落ち着くのでした。
これは、ナンガパルパット社と書いちゃいましたが、もしかすると、シュチュバイ社のナンガパルバットモデルですね。これ以前のナンガパルパットは、製造年の刻印があって、シュチュバイ社のブランドマークの刻印はなかったように記憶しています。職人工房のようにやっていた登山用品の製造が、次々に大会社の傘下に入った時代ではないかと思います。手づくり感を残す最後の時代の製品かな?
これを買ったころ1970年代後半ですが、短いメタルシャフトが主流になっていました。値段は同じぐらいだったので、迷ったあげく、これにしたのでした。けっこう、いい感じに使っていましたが、むかしの話。
投稿: エンテツ | 2005/12/28 21:33
このピッケルは良く売れていましたね。商品名からすると、ヘルマン・ブールがナンガパルパットに挑んだ時に使ったモデルなのでしょう。
ウッドの時代の山屋さんは磨きこんで刀のように手入れをしていましたね。私の一本目はバランスの悪い日本製で直ぐに誰かに譲ってしまいました。二本目からは短いハイテク商品で、手入れ知らずです。その二本目も人に貸して、何百メートルも氷河の奈落へと落下して仕舞ったので、手元には更に軽い機能性の高いゴムを巻いた物しか残っていません。
投稿: pfaelzerwein | 2005/12/27 15:25