食育基本法が隠蔽する農業破壊
おれは、食育基本法が決まる前、法案に反対して、「国益優先で生活後回し政策を重ねた結果を、消費者のダラクといい、消費者の精神や知能の問題にすりかえたところに、いまの「食育」があるのだ。」「そもそも関係者が「食の乱れ」と騒ぎ立てる問題は、食育の欠落が原因なのか。安全性にせよ、自給率の低下にせよ、食事や料理にゆとりのない生活にせよ、ほとんどは政府と与党の政策によるものである。個別の政策で解決を図るべきことがたくさんある。消費者をダラク者あつかいして、食育でカタをつけようなんて、スジ違いではないか。」とか述べているね。
ザ大衆食「食育ナンダロアヤシゲ」
http://homepage2.nifty.com/entetsu/sinbun05/syokuiku_asahi.htm
しかし、食育基本法第七条には、こうある。
(伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献)
第七条 食育は、我が国の伝統のある優れた食文化、地域の特性を生かした食生活、環境と調和のとれた食料の生産とその消費等に配意し、我が国の食料の需要及び供給の状況についての国民の理解を深めるとともに、食料の生産者と消費者との交流等を図ることにより、農山漁村の活性化と我が国の食料自給率の向上に資するよう、推進されなければならない。
これとほかの条項を見ると、消費者の生産者に対する理解や感謝を深めれば、「食料自給率の向上に資する」ことになるかのような文言である。
いま、誰が、どう農業を破壊してきたか、その根本を振り返ってみるのは、なかなかよいことじゃないかと思う。このことを、食育に際しては、子供たちに、よく教えておこう。
「日本では、政府の一部が他国と気脈を通じたり、有力経済人が農業そのものの追放を提唱したりする国家的分裂、危機感と危機感の衝突の中で、農業を豊かに生き生きと発展させる、将来にむけての明確な政策を今も政府は描き切れないでいる。」
これは、朝日新聞1982年7月から12月まで、毎週1回連載の特集「食糧」に加筆してまとめ、1983年6月朝日新聞社から発行された『食糧 何が起きているか』に書いてあることだ。
「政府の一部が他国と気脈を通じた」例とは。日本政府が市場開放第二弾の発表をアメリカに迫られていた時期であり、米通商代表ブロックからは、その発表に盛り込むべき品目について細かい要求(事実上は指示のようなものだ)があった。
その最後に、当時の鈴木首相に、その発表にあたり、「日本の姿勢、つまり「輸出は善、輸入は悪」という考え方の脱却を世界に向けて宣言するよう促したもので、英文の文案まで示してあった」というジケンなのだ。
これがジケンなのは、じつは、この宣言の文案は、日本の通産官僚が作成したもので、それを米通商代表ブロックの要求書に、そのまま使ったことから、バレるのだが、そういうジケン。かりに、そうでなくても、「米国の一閣僚が日本の首相をあごで使うに等しい」やり方だが。
「有力経済人が農業そのものの追放を提唱」は、当時の経団連の動きと発言が、そのままそうである。なかでも、これが、すごい。「ソニー名誉会長の井深大は、八二年三月十日東京で開いた「国際化に対応した農業問題懇談会」の席で、「農業はそっくり東南アジアへ移したらよい」とぶった。」
「「競争力を失ったものを国内に抱えておくことは国民的損失以外の何物でもない。計算すると、農家には農産物を作ってもらうより、カネを渡して遊んでいてもらった方がまだましだ。大体、農業と工業とでは、単位面積あたりの生産性で千五百倍の開きがある」と、井深はいうのである。」
ほんと、なんとまあ、すごいことを言うじゃありませんか。そして、トウゼン、「経済界の動向に自民党は敏感だ。」そして、その自民党を、ノーキョーを中心とする皆様方が日の丸の鉢巻をしめて、支持。
こうして、日本の農業が破壊された事実を、食育する必要があるだろう。
「農業を豊かに生き生きと発展させる、将来にむけての明確な政策を今も政府は描き切れないでいる。」
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