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2006/08/14

よい本とは売れる本のこと?

「よい本とは売れる本のことだ」 前にも書いたが、このオコトバは、某出版社の社長が言い放ったのだそうだ。本音をいうだけよいかも知れない。しかし、単価100円にもならないものをたくさんあつかい、ゼニの勘定しか知らないような食品小売業の「学」のないオヤジでも、そうはあからさまなことは言わないし、しないものだ。「よい食品とは売れる食品のことだ」、なーんて言ったら、消費者に袋叩きにあうだろう。

ところが、いまや出版本屋業界では、「よい本とは売れる本のことだ」がアタリマエというかんじの動向もあるのだ。消費者が望むなら、なんでもつくる、売る。買うひとがいるから、商売になるから……。じつに粗悪なものであっても、食品より簡単にできちゃうのが、出版の分野なのだ。出版物には、食中毒菌はつかないが、もっと悪いものがつく。

それに、けっきょく、経済力のある「大」出版社、「大」書店がはびこるだけだ。そんなことは、ほかの業界では、さんざん経験している。

食品市場は、見た目は圧倒的に大ナショナルチェーンが支配しているようだが、じつは圧倒的に多くの分野で中小零細が実に多様な活躍をしている。苦しみながら、だが。それが、まがりなりにも「よい商品」の底辺を支えている。

もし、そういうところが、「よい商品とは売れる商品のことだ」という考えを持ったら、あるいは内心持っているにせよ、堂々とそれを主張し実行するようになったら、とんでもない事態になるだろう。中小零細が支える、あるいは中小零細だから、なんとかできている、良質な文化がある。その芽をつぶさないようにすることは、とても大事だろう。苦しくても、目先の利益で選択をしてはいけないことがあるのだ。

ああ、それなのに、出版本屋は……。と、思うことがあったので、なんのことかわからない人が多いだろうけど、チト忘れないように書いておきまする。

以前にも、こんなことを書いてますな。05年7月28日「倒産、そして出版とカネ」……クリック地獄

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