「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の憂鬱
11月28日「朝のお目覚め音楽は倉橋ヨエコで「やさぐれ」る」を書いて、ふと思いついたが、生活と音楽のことだ。
朝のお目覚め音楽によって、早くおきて気持よく朝食をとるようになる、そうだ、朝食をとらない家庭に不足しているのは、じつは音楽だろう。では、どんな音楽がよいか?について書いてみよう。これは、きっと食育に役立つ本として売れる。……てな、論理が食育の分野には横行している。
ということを、思いついたのではない。
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が、気になったのだ。
いつごろだったか、70年代だろうか? テレビドラマによくあった場面。朝食かブランチぐらいのかんじ、あるいはダンナが会社に行ったあとオクサマが掃除機などかけていますと、ベランダの白いレースのカーテンがゆらゆらゆれて、とにかく朝日があたる家の明るいダイニングキッチン、それはシアワセな中流家庭の典型ですというかんじの場面、ときどき映像がハミルトン風(いまどきハミルトンなんて忘れられたか)のソフトフォーカスにフワフワとゆらぎ……てなときに、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が流れるのだった。
味噌汁ぶっかけめしなどありえない光景。魚くさいニオイなど、あってはいけない。純にして、白、のイメージ。パンにサラダの食事……。
そして、パンとサラダは残った。
最近のニュースによれば、コンビニのローソンは、インストアベーカリースタイルで、パンとサラダを売るコンビニを開発するらしいが、女がターゲットだそうだ。
女はバカですねえ。
でも、みんな、もとはといえば、あの音楽が悪いのです。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
これじゃあ、納豆に味噌汁にアジの干物にならんのですよ。
かといって、スーパーの魚売場で「さかなさかなさかな~魚を食べると~あたまあたまあたま~頭がよくなる~」なんていう、ひとをバカにした歌を聴かされてもねえ。
やはり、だから、米食のための朝の音楽を開発しましょう。味噌汁のニオイがする音楽を。食育のために。
これがまあ、ハヤリの「食育」に顕著な一種の「循環論法」ってやつですね。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
最近は、もしかすると、日本の封建時代から続く生活の「型」が、というかその「型」にはまった生活が、わりとアメリカの「型」にはまりやすかったのかなという気がしています。
大量生産、大量流通、大量消費、大量中流意識の高度経済成長も、そういう和米のコラボレーションだったと。日本人は、かなり古くから潜在的に、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」な朝食にあこがれていたのかも知れない。おっしゃるように、それは、大量生産のステレオの普及で、最終的に装備は整ったのだけど。
それはともかく、これで思い出したのですが、80年代のバブルも含めて、いわゆる消費の成熟期に、コマーシャルやテレビドラマでモーツァルトが活躍していたような気がします。なんてのかな頽廃寸前の浪費への甘き誘いというかんじがあったような気がします。そのあとバッハが流行ったような……。
とにかく、コンビニもスーパーも、それに象徴される生活も、いまや大きな曲がり角にきているのは、たしかのようです。
投稿: エンテツ | 2006/12/04 11:24
生活と音楽と食事、典型的なライフスタイル談義ですね。特に米国式の食パンから日本式の食パン文化の発達を思い浮かべますと、その延長線上に戦後もあったのが判るようです。
故中内氏を代表するようなスーパーの展開もそこにあったのでしょう。そして、高度成長から安定成長へとかけて、「中産階級の幸せ」を表わすようなライフスタイル経済が大きな意味を持ったのでしょうか。
其れへの抵抗と云うか反動は、食事においては米国の食文化への評価で当然と云う感じはします。むしろ、食パン産業の商業的効率にライフスタイルを定められていた食卓においての覚醒が遅すぎたのではないでしょうか?
まさに夜(ナハト)の音楽が、米国型消費生活に鳴り出すのは、朝食かもしれません。またその環境を全世界的の一般人に可能にしたのもソニーやケンウッドといった日本製の廉い家庭消費財であるのも思い出さなければいけません。
コンビニのやり方も世界的な傾向で、世界中が願望として夢見ていた「幸せ」が、実はそうした経済の中で、失われていっているのに気が付きます。もちろん、その経済は其れが生み出す文化の質低下の内に反動の時を待っていると予想出来ます。功利主義の矛盾がここに見出せるかもしれません。
投稿: pfaelzerwein | 2006/12/03 03:32
それじゃ、ぶっかけめしをぶちまけちゃいそうだなあ。
投稿: エンテツ | 2006/12/01 17:21
納豆に味噌汁にアジの干物、ぶっかけ飯には「ヨトマケの唄」が良いでしょう。
投稿: 吸う | 2006/12/01 15:39