出版、本屋のフシギ
きのう電車のなかで見て、気になって、どうも気になるから書いておく。
JRの中吊り広告に、名前は忘れたが、ある芥川賞作家の受賞第一作の広告があった。版元は河出書房新社だ。どういう広告かというと、ボディーコピーにあたる文章が、本屋の社員というのか店員というのか知らないが、その人たちが数人、店名と本人の名前入りで、その作品を褒め称える、というものだ。ひとつの「推奨広告」だな。
これが、いろいろな人が推奨するなかに本屋の人が登場するというものではなく、本屋の人たちだけ、つまりどう見ても本屋さんが、河出書房新社のこの本をオススメしています、というかんじなのだ。内容的にも、おしつけがましい文章があったが、それはまあいいだろう。
おれはヒジョーにヘンにおもったのは、とうぜんながら出版社はメーカーであり、本屋は流通つまり、いろいろなメーカーのものを取り揃えて客に提供するのがショーバイのはずだ。一つのメーカーの「下請け」ではないはずだ。
もちろん、本屋のひとが客にすすめたい本があるのはわかるけど、基本は、やはり客のニーズとメーカーの商品のあいだを取り持つことではないだろうか。
自分の店頭やブログなどでオススメをするのはトウゼンだろうが、電車の中吊りというのは「公共」であり、公共の一部を広告主がカネをだして利用している。そういう場で一メーカーが提供する広告に、こんなカタチで肩入れするってのは、どうも不自然のようにおもった。
しかも、「芥川賞」というバリューのある作家の広告で。売れればよい、よらば大樹というわけか、という印象をもった。
なんか、おかしい。気がする。「公私」のあいだのマナーも気になったし、本業界、おかしいんじゃないのと気になった。ので忘れないように書いておく。
ま、おれの本が出たときには、こういう広告をしてほしいものだとはおもうが。
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