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2007/10/01

そして必死にも見える食堂の看板

Syokudou_simonoseki下関の路地の奥に、派手な看板の食堂があった。近づいて見た。「食堂」の看板ではあるが、「喫茶」「居酒屋」でもあると強調している。ほかにも、「お気軽にどうぞ」「おでん」「やきとり」「串あげ」「湯豆腐」「すきやき」「5時より営業します」「女子従業員募集」「オムライス 焼そば チャンハン」などの看板が。

建物の様子からすると、もとはスナックか喫茶だったようだ。19時ちょっと前、あたりは景気とは無縁の雰囲気で、人通りも少ない。

見ているうちに、この看板のにぎわい、むしろ必死のヤケクソ気味であるようにも思えた。

この夏、あちこちウロウロして、強く印象に残ったのは、やはり、地方経済の衰退はチトただならぬ感じだなあということだ。あまりにも急激な落ち込みかただ。だいたいニンゲンが、どんどんいなくなってしまう。残ったニンゲンは、この3年間ぐらいに賃金がどんどん下がるのに耐えて生き残っている。食堂の客の、そういう変化は、過去10年のうちで、最近の3年ぐらいがもっとも顕著だ。

一方に、東京の繁栄、ミニバブル。東京の「1人勝ち」なんていうが、東京の実力でもなんでもない。一極集中の構造が、より強く機能したにすぎない。ま、「改革」といわれるやつだ。最近も総務省かなんかのデータにあったと思うが、東京、愛知、大阪と他の地方の「格差」は広がる一方だ。

この構造は地方に行くと、道府県都一極集中という構造になる。さらにまた、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、仙台、札幌あたりは、同質の経済圏としてつながっている。だから、この地域で成功しても、他地域で成功するとは限らないし、たとえば出版などもそうだが、この地域を押さえる大流通に頼った企画が先行するようになる。

「改革」も「自由競争」もいいが、東京だけが得をする一極集中の構造がそのままでは、不公平改革、不公平競争だ。と、こんなこと書いても無力なんだなあ。

強化される東京中央集権の真ん中で、浮かれている連中には、こんな話は通用しないさ。しかし、地方を、このままにしておいて、なんとかなると思っているのだろうか。ま、そんなことは何も考えず、東京での微々たる成功を自慢に満足しているだけなのだ。

すでに始まっている、食料品の値上げは、まだまだ続き、消費税アップと抱き合わせで値上げになる公算が強い。だけど、競争力の弱い食堂は、原価アップ分の値上げそのものが存続を脅かしかねない。つまり、そういうラインの生活者が、けっこういるということだ。

数日前に書いたが、いまの食料品値上げの根本には、大きな流れとして円高経済が終わって円安経済へシフトしていることがある。小麦粉、コーンなどの個別の問題もあるが、それだけではない。輸入を「善」としてきた経済そのものがモンダイなのだ。そして、すでに、その政策下で、地方経済の基本は壊滅的な状態にある。かつての円安時代には、もどれない。では、どうするか……なーんてことを書いても、仕方ないのですね。

浮かれる東京、沈没する地方。

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