千葉県産大羽いわしの丸干198円。を「読む」。
地元のC級スーパーで買った、「千葉県産大羽いわしの丸干」は3尾で198円。「解凍」という表示。つまり、冷凍品だ。
昔はよかった三丁目の夕日の昭和懐古礼賛や、冷凍品工業製品ダメ手づくり礼賛、あるいは自然のまま旬ナマモノ礼賛の人たちは、たぶん解凍の刺身を食べたり工業製品の紙でケツを拭きながら、こういう「解凍品」を批判あるいは軽蔑するだろう。
三丁目の夕日は、崩壊した「中流意識」幻想の「ふるさと」なのだと思う。大衆食や大衆食堂を、そういう類の具にするなど、ある種の野菜をオトナのオモチャにするも同じこと。
おれはスーパーやコンビニに対する批判はあるが、スーパーや、もちろんそこに働く人びとや買い物する人びとを否定するがごとき主張、自分が正義の「反スーパー反コンビニ反ファストフード」の人であるがごとき口先の演出をするほど常識しらずでも恥知らずでも野暮でもない。
「だしの素」をつかうのは、それほどマチガイだとは思っていない。スーパーに大量に陳列されている「だしの素」を見て、日本人は便利に流され堕落したと嘆くこともない。もちろん解凍品=冷凍品においておや。おやおや。
とにかくスーパーでは、干物は、必ずチェックする。干物、大好きだ。そして買ってきた、コレ。ああ、しかし、この3尾の口を結ぶ、コレ。画像を見よ。いまでは、白い石油製品を使うことが多くなったが、コレ、ちがうのだ。しかも、一尾100円にも満たないものに、この手作業。千葉県産、えらい。
千葉県産えらいが、かなしいのは、おれだ。コレ、この口を結ぶ素材が、なんであるか、わからない。稲の藁かと思って、よく見たが、そうではないようだ。では、麦の藁か。うーむ、そうでもあるようだが、確信がもてない。三丁目の夕日を礼賛する人たちは、きっと知っているのだろうなあ。
とにかく、こんなものが気になるようになったのだから、三丁目の夕日の礼賛も、わからなくはない。もちろん、映画を見ないで言う。でも、それはきっと、未来を考えられなくなった時代が、ゆきついたところだろう。「昭和ブーム」そして小さなタコツボの底を突きまわすようなマニアックな?オシャベリに群がる。コンニチほど未来を読み語ることが難しい時代はなかった。おれの人生でだが。しかし時代は、そうであっても、未来を考えたい。おれが大衆食や大衆食堂に関心を持つのは、そこに未来へつながる何か、真実=本質というか、可能性を「読む」ことができると考えるからさ。たいがい大事なことは、普通の人びとの普通の生活にあるのだ。
コレ、千葉県産大羽いわしの丸干198円の口をむすぶ藁が、またもや、そう思わせた。活字や漫画や映画より、偉大である、この藁。たぶん、何かの茎を乾燥させた、藁にはちがいない。
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