泥舟泥縄「観光ニッポン」は、もしかするとオモシロイか?
小泉というと、「郵政民営化」だけじゃない。たしか「IT戦略」なるものを華々しくかかげ、そして末期には「観光立国」を打ち上げた。その小泉の後継者として「美しい日本」をうたい首相になった安倍のもとで、昨年12月、観光基本法(昭和三十八年)の全部を改正し、観光立国推進基本法が制定された。
『週刊ダイヤモンド』2007年7月28日号の特集「激変 ニッポンの観光」を読むと、そのことがあらためて思い出される。
「観光産業は"21世紀のリーディング産業"になると予測されているが、日本はこれまで、観光を軽んじてきた。しかし、2003年以降、観光政策を転換し、新たな法律、観光立国推進基本法が施行された今年は、観光立国元年といわれている。大きく変貌する"ニッポンの観光"の最新事情と、間違いのない観光地選びのノウハウ、"日本の歩き方"をお届けする。」とリードにあるこの特集は、なかなかの力作だ。であるから、その結果、なにがはっきり見えるかというと、どうにもならなくなったお寒い日本の姿、沈みゆく泥舟泥縄の日本の姿なのだ。
そういえば、むかし「技術立国」という旗がありました。「IT戦略」のころには「情報立国」だった。いずれも「立国」ならず破綻。破綻しても、誰も気にしない。ほんと、日本の政治家と官僚は楽だ。
でも、お先真っ暗なことに、かわりはない。そこで、この「観光立国」という路線が浮上した。もちろん経団連の肝いりだ。もう、自分の身体を見せてストリップでもやるほか、成り立つ道がない。楽しみながら遊びながら衰退する国にふさわしい。いや、もう衰退したから、この政策しかない。
「激変 ニッポンの観光」で観光の取り組みをみると、これはまあ戦後の焼け野原じゃないかと思う。もちろん爆弾落とされた敗戦とはちがうから、キレイなおべべを着て楽しそうにやっているけど。しかし、戦後の焼け野原ならば、そこに大いに可能性もあるというわけだ。裸一貫徒手空拳から出直すぐらいの腹があればだが。
これを買ったのは、7月末に駅の売店で見て。イチオウおれは関係ありそうな経営にも関わっているし、それに「ご当地グルメ」など飲食業と密接だ。この特集でも、かなりの誌面を飲食系に割いている。
笑っちゃうのは、これが出て、まもなく、「本邦初公開!全国土産物売れ行きランキング」の記事でトップだった「白い恋人」が、あの騒ぎ。そして1ページ丸々使って登場の「伊勢 身代を賭けて門前町を復興 銘菓「赤福」会長の心意気」の見出しが、これまたあの騒ぎ。
なんとまあ、「IT戦略」「情報立国」とやった小泉の鼻先で、ライブドアがあり、金融の情報システムトラブルが続いたのに似てないか。そんなことも、もう忘れているか。
「観光大国」をうたうが、「昭和ブーム」だの古物過去にたかり、現実も直視できなくなった、未来を志向も思考もできない「若ボケ老化大国」だよ。
そういや、「ミシュラン東京2008」は、まもなく発売だな。掲載店が、ニセ表示やなんかで問題にならないことを祈ろう。でも、日本の業界お仲間は、どこも同じで、お互い既得権益を守るので必死、なあなあまあまあでアマイからね。っていうか、もう既存業界の退廃。マスコミだって、調子のよいときのデータは大きく載せるが、いまの日本の国際経済指標の低落の有様など知らん顔。成功話ばかりで失敗を取り繕っているようなやつらがのさばっている。
「むかしはよかった」なんて、いつまで昭和や懐古にひたっているのだ。そんなのは死にそうな年寄りにまかせておけ。
ってことで以前に書いたことを思い出しておこう。
2005/04/03
「観光」で東京はナントカなるのか?
2007/06/09
「ミシュラン東京2008」便乗商法アイデア
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