はなのいろはうつりにけりな
おれはイチオウ、ライターという肩書きで仕事をしているけど、それは10年そこそこの成り行きの結果で、出版界との付き合いは、あまり深くないし、ドップリ漬かるつもりもない。「ライター」という肩書きに、なにか特別の思い入れやアイデンティティを込めることもない。裸で外を歩くわけにはいかないので、チョイとひっかけて出る衣装みたいなものだ。「プロ意識」「職人根性」あるいは「作家精神」、そんなものとも無縁だ。会社員かフリーかの違いはあるが、フツウに職業をやっているにすぎない。どんな仕事をしていても考えなくてはならないこと、やらなくてはならないことをコツコツやっているだけだ。
で、きのうの話題というと、やはり新風舎と草思社のことだった。いわゆる「倒産」というやつだ。出版関係の何人かのひとから電話があって話した。聞けばきくほど、奇怪な「倒産劇」で、じつに虚業界というのは、おもしろい。なんてのかな、経済法則より、形而上の観念が支配するところというか。また、そういう観念が、トツゼン、なれない経済法則を用いると、とんでもないことをやらかすものというか。ウワサ話に過ぎないが、そういう感想を持った。
バブル経済の一つの特徴は、本業は儲かっていないのに、不動産などの資産を利用した資金回転力や本業外収益で会社が成り立っていることだった。日本経済全体が、そうだったわけだ。これが、まだ出版界では続いているのだなあ。その仕組みが、じつに奇怪で、魑魅魍魎、チョイと話を聞いたぐらいでは、理解フノー。とにかく、フツウの会社なら、市場のダウンサイズにあわせた、あらゆる方法を工夫するところだが、そこんところが、なんてのかなあ……。みな、けっこうよいとこに店をはったり、よいところに住んだりして、それで乗り切れるなら、けっこうなのだけど。
ま、外からは、いろいろいえるわけで、だけど、いろいろいうと、とにかく自分は頭がよい正しいと思っている人が多い業界だから、そのコンニチでもある。
はなのいろはうつりにけりな……の歌ぐらいは、知っているはずであろうに。もう実態としては、日本自体、そして出版界も、かつての容色はないのだ。
ライター、つまり「書く」仕事は、出版にこだわる必要はない。自分の名前を出すのは、偉そうにするためではなく、自分をさらして、どこから批判や批評でもなんでもしてちょうだいということだ。そこからまた何か可能性が生まれる。人間一人の能力なんぞは、たかだか知れているからな。3年に1冊ぐらいのペースで本を出せればいいかなという感じで、それすらもやれてないが、そして30点~50点人生でけっこうなので、バカにされようが、それぐらいのペースを「標準」にして成り立つ方策を考えて続けている。細々でも「継続は力なり」、そういう、ほんとうは貧乏な日本経済に即した、「戦略」なのですね。
それぞれのことだけど、そういうことを考えた。
ところで、パソコンが壊れてデータは消失、たいがいはもとにもどりつつあるが、「ザ大衆食」以外の2つのサイト、「大衆食堂的」と「エンテツ資料棚」の更新ができなくなった。だいたい放りっぱなしだったのだが、IDもパスワードもわからなくなり、サーバーにアクセスできない。もとはといえば、「ザ大衆食」のニフティのサーバーの使用できる容量が小さいときに、分散させるために設けたサイトなので、この際「ザ大衆食」にまとめてしまおうと思っている。全部、移してから、「大衆食堂的」と「エンテツ資料棚」は、削除する予定。リンクを張っておられるかたはいないと思うけど、念のためお知らせしておきます。こちらからはっているリンクは、そのまま継続させてもらいます。
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