美しき厚顔無恥な脅し広告。
いやはや、これはもう、まさにコメディだね。「兵庫のおじさん」のネタにできそうだ。ほんうとに日本は大丈夫かとおもちゃうな。こんな広告にカネをかける農水省。
2008/03/05「『BRUTUS』が食堂特集とな。」と2008/03/07「小山薫堂さんのオコトバで、さらに輝いた北九州の食堂。」で話題にした『BRUTUS』3月15日号には、こんな、特別冊子の貼り込み広告があった。B5版フルカラー8ページ。そのなかの6ページを使用して、「福田利之さんの絵で綴る、小さな日本の大きな問題。」「考えてみませんか。わたしたちの、食べもののこと。」ってことだ。
いや、ま、それは考えるのはやぶさかではない。このブログでもさんざん考えてきた。しかし、この、ほとんど「脅し」にちかい、農水省の態度は、どうだろうか。それに、経済オンチじゃないかとおもうほど、「経済」が欠けている。農業は経済活動やってないの?経済に関係なく生きていくつもりなの?それとも国民に、経済に関係なく生きろといいたいの? たしかに、国が、そのように国民に「精神主義」を強制した時代があったことはあったが。
それはともかく、これからしばらく、この広告をネタにゆっくり遊ばせてもらうことにしよう。
「田んぼや畑にする土地が少ないので、みながいま食べているものを国内だけでは作ることができません。」といいながら、減反その他の政策で、休耕地を増やしてきたのはだれだ。豊かな耕地を、石ころとぺんぺん草の荒地や道路にしたのは、農水省の農政だろうが。全国一律の米作優遇の補助金政策で、変化する食生活のニーズに対応できない、経営能力のない農業を育て、需給バランスの悪い農業にしてしまった。結果、展望のない農業に失望し離農者は増えるわ、耕作放棄地は増えるわで、自給率まで下がったのではないか。そしていま「世界の食糧事情」を大上段にふりかざして、国民の食生活の変化、「豊かさ」を求める国民を脅し「悪者」にする。こんな手前勝手な、ご都合主義のリクツで、これからやっていけるとおもっているのだろうか。
もし、このまま世界中で
食べものが足りなくなってくれば、
どこの国も自分たちが食べるぶんを
大切にするでしょう。
食べものの価格が上がって、
取り合いの競争がはじまるかもしれません。
……こんなことを、国際会議の席上で、農水省の官僚は、クソマジメな顔で演説できるのかい。笑いものになるだろう。そもそもだよ、いま農水省がすすめている大規模経営農業の育成は、ほとんど輸入に頼るエネルギーがなくては成り立たないものではないか。そのエネルギーの争奪のほうが深刻だろうよ。
ま、とにかく、言いたいことはたくさんあるが、きょうはこの脅し広告を掲載しておくだけにする。この広告、表4を見ると、「マガジンハウス×MAFF」とあって(「MAFF」って農水省のことね)、『アンアン』『クロワッサン』『ハナコ』『ブルータス』『ターザン』(「クロワッサン」をのぞいて、みな英横文字表記)と誌名が並んでいる。いったい、この読者たちは、このていどの「ムード」にだまされやすいのだろうか。少なくとも農水省は、こういう広告で効果がでる相手だとみているのだろうな。ま、そうなのかもしれない。
考えろ、意識を変えろというのなら、こんな美しき脅し文句ではなく、キチンとした根拠のあるデータを出すべきだ。こんなガラクタのよせ集めのような文句をならべおって。
日本は山がちな国です。
わずかな平地にたくさんの人が住んでいます。
田んぼや畑にする土地が少ないので、
みながいま食べているものを
国内だけでは作ることができません。
もっと豊かな土地がある国では、
それぞれが得意な食べものを作り、
余ったぶんを輸出しています。
わたしたちが食べるもののなかで、
国内で作られているものは
4割です。
6割は、遠いよその国で
よその国の資源を使って作られ、
それをわざわざ運んでいます。
日本に住むみんなの食べものを
国内で作ろうとしたらどうなるでしょう?
……ほとんどが米と芋になってしまいます。
しかもギリギリの量しかできません。
もちろん、
よその国とちゃんと仲よくしていれば、
食べもののことを心配しなくてもよい、
という人もいます。
でも、世界の人口は
爆発的に増えていて、
このままでは
食べものの生産が追いつきません。
人々の生活が豊かになって、
肉や卵を食べる量が増えると、
そのエサとなる穀物は
もっともっと必要になります。
穀物をエネルギーの原料として利用する動きも、
これからどんどん盛んになっていくでしょう。
地球温暖化の影響で、砂漠化が進んだり、
気候も不安定になってきています。
食べものを作るためには、
たくさんの水が必要ですが、
それも足りなくなってきています。
もし、このまま世界中で
食べものが足りなくなってくれば、
どこの国も自分たちが食べるぶんを
大切にするでしょう。
食べものの価格が上がって、
取り合いの競争がはじまるかもしれません。
そうなると、食べものの多くを
よその国からの輸入に頼っている日本は、
困ってしまいます。
日本は山がちな国です。
たとえ国内の平地をすべて使っても、
いま食べているものを作るのに
必要な広さのやっと半分。
ぜんぜん足りません。
だからこそ、大切にしていきましょう。
食べものを生み出してくれる田んぼや畑を!
限られた田んぼや畑を荒さないように。
ちゃんと作物を植え、育ててもらうように。
わたしたちの食べものを、
わたしたちの手で守る。
これは、この国で生まれたわたしたちが、
この国で暮らしていくなかで
きちんと考えなければならない問題です。
みんながこの国で作られたものを
もっと手に取るようになれば、
問題は、一歩、解決に近づきます。
わたしたちの健康のために。
わたしたちのふるさとのために。
わたしたちの未来の子どものために。
そして、地球のみんなの環境のためにも。
けっきょく、ゆきつくところは、コメのめしさえあればよいという、卵や肉をくうゼイタクは敵という、貧しい「エサの思想」なのだ。そこから一歩も出てない。あまりにも食生活の現実からかけはなれてしまった「エサ管理」思想。それこそが自給率低下の根底にあるものだ。
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