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2008/03/06

実感も実態もない過剰な消費主義がもたらす偽装。

asahi.com 「南部地鶏」偽装7年 せんべい汁の具材 青森の業者
2008年03月06日12時32分
http://www.asahi.com/national/update/0306/TKY200803060197.html

青森県八戸市を中心とする南部地方の名物「せんべい汁」のセット商品が具材にブロイラーの「種鶏」を使いながらパッケージには「南部地鶏」と表示、7年以上販売されていたことがわかった。……以下略。

という報道。

イチオウ、法律に違反することは、イケナイ。だけど、ここ数年の、「被害者」はいないのに、法律があるために「マスコミ」がモンダイにする、こういう事件は、何を意味しているのか。法律が生活の現実とズレていることもあるが、つまり、「南部地鶏」かどうかなど、判断つかないし、もしかすると、そんなことはどうでもよいのであり、値段と品質が折り合えばよいという人が大勢いる、ということではないか。たいがいは実感や実態にもとづいて判断している。だけど、「偽装」と騒がれると、やはり不安になる人たちだ。

ところが、そうした実態や実感にもとづいていては、食っていけない人たちがいる。たいがいメディアの周辺にいるのだけど、不安を煽り、地域ブランドや生産者ブランドの過剰な競争を煽り、あるいは「手づくり」だの「環境にやさしい」だの「いのちをいただく」を煽ることで、何者かになったつもりか儲けているひとたち。もしかすると、いらないのは、そういう過剰な人たちで、彼らがいなくなれば、「偽装」問題は解決するかも知れない。

いまや忘れられるのを待つばかりのギョーザ問題の商品のパッケージには、なんとあったか。「本場中国肉餃子」「手作り餃子」だ。でも、その「本場」「手作り」の表現は問題になってない。いわばキャッチコピーのようなものだ。そのように、そもそも、「南部地鶏」なんてのは、広告のキャッチコピー、雑誌の見出しのようなものなのだ。

広告のキャッチコピーは、商品表示のように、さまざま制約を受けるが、新聞や雑誌の見出しときたら野放し。ブログでもそうだ。規制しろ、と言っているのではない。「南部地鶏」の偽装を問題にするなら、メディアの過剰な表現も問題にしなければオカシイ。

大部分の人たちがよく知らないハズの「南部地鶏」、あるいはそれに類するブランドが意味を持ったのは、メディアの過剰な表現によって、意味を与えられたからだろう。「本物」「本場」「正統」「元祖」「聖地」「珠玉」……「手づくり」「やさしい」なども、あげれば切りがない。読者も、こういう実感や実態のアイマイな紋切り型の表現を多用するメディアを警戒すべきだと思う。

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コメント

>おけいさま

はてさて、この「過剰」は、どういうことになりますやら。

>ハジメ男さま

おひさしぶりに「激励」ありがとうございます。メディアの周辺に棲息しなくてはならないライターが、このようなことを書いていると、オマンマのくいあげになってしまうので、やめようと思いつつ、ツイ書いてしまうのであります。

投稿: エンテツ | 2008/03/07 06:11

遠藤様。

ここのところ舌鋒冴えておられてうれしいかぎりです。

投稿: ハジメ男 | 2008/03/06 23:35

「本物」「本場」「正統」「元祖」「聖地」「珠玉」……も、「南部地鶏」の記載も、もはや同じ土俵の表現でしょうね。そこにあるのは、ホウリツのモノサシだけ。つねにメディアの無責任発言は野放しなのに、それこそホウリツでトリシマレバいいのに……、最近本当にそう思います。

投稿: おけい | 2008/03/06 14:47

この記事へのコメントは終了しました。

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