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2008/06/06

ブログという不完全なワタクシと文章のさらし。

何かを書いて人に見てもらうのは、自分の恥をさらす行為だ。だから、それなりのカクゴがいる。

その覚悟のためには、印刷媒体のばあいは、自分は「残る」印刷物にものを書くのであるという、意識過剰が働く。という見方が成り立つのではないかと思う。とはいえ、恥をかかないですむには、それなりの「立派な」文章を書かなければならない、そして書いて印刷された結果、おれは印刷物に載るような「立派な」文章を書ける人間であるという、これまた意識過剰を持つ。これだけでも、ダブル意識過剰だ。

一方、その恥をよく知り、その恥を越えられない人は、なかなか人の目にさらされるような文章を発表しないし、できない。「恥」の意識過剰が邪魔をするのだ。恥をかきたくないという気どりもあるかもしれない。

どちらにせよ、書いたものを発表する、そのことで「注目」される自分を過剰に意識している。
そういうことになった、日本のブンガク的土壌については、この際モンダイにしないにしよう。

でも、一つだけいえば、そのブンガク的土壌がもとにある、印刷された文章というのは、かなりタイトな条件によって、成り立ってきた、というか、権威を維持してきた。「編集」なんてのは、そのために機能してきたようなものだ。それが、つまりは、「新聞を中心とした活字媒体をきちんと読む習慣の重要性」なんていう、チャンチャラおかしいことを、新聞社が自ら述べる事態につながっていると思う。これほどの恥さらしはないと思うが、自らの意識過剰のなかで酔ってしまっているようだ。いまのおれが酒に酔っている以上に酔っている。酒代を払わずに酔えるなんてウラヤマシイ。そして「本を読む重要性」を説く出版社や編集者なども、同じウンコのなかのウジ虫なのだ。ある種の「ブンガク利権」「出版利権」の姿ともいえる。たいがいの利権というのは、参入の条件を難しくし、掌握することで成り立つ。

ところが、ブログというのは、文章を用いるが、たいがい編集者はいない。自分の自由である。自由に、自分の恥をさらせる。つまり、自由に不完全なワタクシと文章を発表できるのだ。だから、そんな恥はさらしたくないと、なかなかブログを書かないひともいるかも知れない。なにしろ、ブログは、それ自体としては「新聞を中心とした活字媒体をきちんと読む習慣の重要性」を主張できるような権威はない。いやあ、ワタクシの書くものなんか、そんなこといえるスジアイのものじゃないですよ、という感じのところで書いているひとも少なからずいるだろう。

ま、ひとのことはいいや、おれは、「ブログという不完全なワタクシと文章のさらし」こそ楽しいと思っている。ブログに移行したころは、よく文章の最後に「どうでもよいことだけど」をつけていたし、そういうふうに読んでもらいたいと書いたりした。ようするに思いつきアソビだ。かしこまることはない。カタク考えることはない。お手軽お気軽。

重要性なんかないのだ。どうでもいいことを書いている。だけど重要であり、どうでもよくない関係。いまは、そういう表現が必要な時代のような気がする。あの「新聞を中心とした活字媒体をきちんと読む習慣の重要性」を主張する権威主義的な文章の世間から脱却し、「生きる真実」に近づくためにも。

ある種のタイトな条件にもとづく完全なカタチと内容を持った、なにか一つの著作物や、一人の著作物や、一つ学会の、印刷された文章では世界を捉えきれなくなった。そういうものが不要というつもりはないが、新聞だって「新聞を中心とした活字媒体をきちんと読む習慣の重要性」なんていえる時代ではないはずだ。

むしろ、不完全のまま接しあい、不完全であるがゆえに、誤解やら摩擦やら紆余曲折があり、あるいは新鮮な視線や、腐ったココロもあり、不気味な言動もあり、みなが自分は正しいと思って書くのかも知れないが不完全で、その不完全を寄り集めてみると、なにかオモシロイことが見えてくる。そちらのほうに「正しい」ことがありそうな感じ。そもそも生活や街というのは、そういうふうに成り立っていると思うのだが、そういうものにイチバン近いのがブログだと思ってきた。

いま「思ってきた」と書いたが、不満があるのだ。もっと、ポッと思いついたときに思いついたことを、この不完全な自分のままに一行からでもよい書きたいという気持がある。いま、こんなことを書くと、アイツはどう反応するかなと気になったら、その一行をスグ書けるとか。そういうふうが、より不完全なワタクシと文章のさらしになってオモシロイかなと思っている。そして、これもまた「気にならない力=貧乏力」をつけるためになるかもしれない。

そういうことが可能らしいと思えるものを見つけたのだが、まだ仕組み全体がおれのアタマでは把握できない。
こういうの。
http://twitter.com/klov

午前1時半ごろ。もちろん酔ってます。どうでもよいことを書きました。

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コメント

どーも、ありがとうございます。
klov さんのはてなは、ときどき拝見していまして、こういうのいいなあ、どういうシカケなんだろうと思っていたのですが探求もせず。
きのう、リファラから辿りまして、オモシロイのがあるんだなあ、と。
はてな「北の大地…」さん、とても参考になりました。

かなり、やってみようかなという気になっています。

投稿: エンテツ | 2008/06/06 12:47

どうも、リファラから辿っていただけたのでしょうか。
上に載せていただいた「twitter」というツールでエンテツさんの記事を紹介させていただきました。
twitter、ですが、「ポッと思いついたときに思いついたことを、この不完全な自分のままに一行からでもよい書きたいという気持がある」方には非常にお勧めです。
http://twitter.com/
こちらよりアカウントを作成できます。
昔は英語版しかなかったのですが最近日本語化されました。
http://d.hatena.ne.jp/hejihogu/20070501/p1
これは日本語化前の記事ですが、参考になればと。

投稿: klov | 2008/06/06 09:38

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