« 高度経済成長のハレの味か? ビフテキ。 | トップページ | オレのビジネス、「ファンキービジネス」。 »

2008/06/22

おれは「俺」でゆく。

Santatu_hm_2

近頃のアートフルなオシャレは、飼いなされてしまったかのような「お行儀のよさ」が目にあまる。ときには息苦しい。

あえて無頼ぶるというのもオカシイが、そんなにお行儀のよいことで、これからやっていけるのかとおもう。もっと髪をふりみだして歌うような生き方でありたいねとおもう。もっと肉体の底から発するような声をだしたいとおもうね。

ところが、どんどん「お行儀のよい」街が、はびこっているようなかんじがする。なんだかとても「お行儀が悪い」のがいけないかのような、そういう「圧力」や「統制」をかんじる街。紳士淑女でなければいけないかのような街。

そしておれは、「俺」という言葉さえも自由につかえない、明るい美しい「お行儀のよい」環境のなかで、声をのんでたたずむしかない。

おお、健全な。新宿の歌舞伎町ですら、そんなぐあいになりつつある。

どこもかしこもアートフルなオシャレなカフェのようになっていく。おげっ、かんべんしてよ、中国の人民解放軍やナチ親衛隊の制服のようじゃないかとおもう。その制服は、オシャレな自由なファッションであるかのようだけど、こっちいわせれば、みなおなじファッション情報誌からぬけだしたような有様だよ。なぜか、「お行儀のよい」「おだやかな」話し方から音楽、微笑まで一緒。おげっ、気持悪い。

そうなのだ、ファシズムとは、心地よくやってくるものなのだ。シアワセな陶酔こそ、ファシズムなのだ。

ああ、おれのような「お行儀の悪い」男の居場所が少なくなる。「キモい」なんて言葉で「弾圧」されるのだ。

数日前に、こんなニュースがあった。

yahoo!ニュース

常用漢字に追加188候補=「俺」は結論先送り-文化審
6月16日18時30分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080616-00000111-jij-soci

 常用漢字表の見直し作業を行っている文化審議会のワーキンググループ(WG)は16日午後、追加候補として188字を漢字小委員会に提示した。小委はこのうち、常用漢字にふさわしいか意見が分かれていた「俺(おれ)」の扱いを議論したが、結論は先送りされた。
 「俺」については、委員から「使用頻度が高く、常用漢字にすべきだ」「子供に使わせたくない言葉。あえて加える必要があるのか」と賛否両論が出た。
 ほかに候補となったのは「藤」「誰」などよく使われる漢字。単体で使われないものの、熟語での使用頻度が高い挨拶(あいさつ)の「挨」「拶」、椅子(いす)の「椅」も盛り込まれた。
 主に固有名詞で使われる漢字は選ばれなかったが、例外として、県名に登場する「岡」「阪」など11の表外字は候補に入った。 


……おれは、「俺」が「子供に使わせたくない言葉」というのにおどろいた。文化審議会が、そんな選択をするなんて、偉そうな。文化は国民の生活のなかにあるのであって、文化審議会のアタマのなかにあるんじゃない。

おれは、ガキのころから、「俺」で育っている。「私」はよそゆきであり、「僕」は、小学校の作文の時間に男子は「僕」、女子は「私」と書きなさいと教えられたものだ。

おれにとっては、「俺」こそ、もっとも自分の誠実な姿であり言葉なのだ。

そうなのだ、いま「お行儀のよい」オシャレに飼いならされて、よろこんでそれが迎えいれられ、お行儀よくおさまっている流れのとき、誠実な「俺」が真綿にくるまれて殺されようとしている。ブフッ、おれのパンキッシュな精子をぶっかけてやりてえよ。そして、髪をふりみだし生きるのだ。

と、思うのだが、それはとても大変なことだ。孤独で孤独で、おれは、ウツになりそうだ。へたりそうだ。……ぐふふふふふ。


ぼうずコンニャクのお魚三昧日記
2008年06月09日
ナガウバガイでぶっかけ飯

 遠藤哲夫さんの本に『ぶっかけめしの快楽』というのがあるが、まさにぶっかけ飯を食うと独特の爽快感に襲われる。
 もしくは「飯を食ったぞ」という満足感に満たされると言ってもいい。
 ちなみに深川飯というのがあるが、これももともとは貝の産地であった深川あたりで「有り余る貝でみそ汁を作り飯にぶっかけた」というのが発祥である。
 すなわち「ぶっかけ汁」は二枚貝で作るのが王道なのだ。

……ぶっかけめしを「お行儀悪い」とした「歴史」は、このような「爽快感」や「満足感」を奪ってきた。だけど、このクソッタレな浮世を生き抜く、おれたちに必要なのは、「お行儀のよさ」ではない。このような、日々の「爽快感」や「満足感」こそ、必要なのだ。

おれは「俺」のぶっかけめしを食おう。ぼうずコンニャクさん、また一杯やりましょう。

古書現世店番日記を見たら、2008-06-21「週末。」に、「池袋特集の「散歩の達人」をコンビニで買う。編集部の平岩さんが「旅の手帖」に異動になってしまい、松本英子さんの「プロジェクト松」が最終回。なんてこったい!」とあった。 

H岩さんとは、何年前か、彼女が「散歩の達人」に異動してきたばかりのころ、中野高円寺特集で、そのへんを食べ歩いたのが最初だ。M本さんは、10年ちょっと前、おれが散達の仕事をするようになったころには、すでにレギューラーを持っていた。遠太で飲んだなあ、「芸大コンプレックス」の話がおもしろかった。いつのまにかH岩さんもM本さんも「古株」になってしまった。異動や連載の終わりも仕方ないのかもしれないが、「お行儀悪ぶり」をいかんなく発揮していた2人が揃って、この時期に散達から姿を消すのはサミシイ。

みんないなくなっても、おれは「俺」のぶっかけめしを食おう。
おれは行儀悪いんだよ。文句あるか。
けっ。

(追記。散達のH岩+M本コンビの画像を掲載した。これは2005年3月号。ちょうど、M本さんの「芸大コンプレックス」の一端がうかがえる場面。おれが見たかぎり、このコンビの最高傑作は、比較的新しい、成城が舞台のやつだが、いま探しても、その号が見つからない。このキャラ、「兵庫のおじさん」の須田さんなら、なにか黒笑的生かしがあるかも。)

| |

« 高度経済成長のハレの味か? ビフテキ。 | トップページ | オレのビジネス、「ファンキービジネス」。 »

コメント

おはようございます。体調崩して寝ています。

散達がまだ今より小さい誌面で印刷されている紙がザラザラしている頃から慣れ親しんだあのヘタ巧な絵柄がより散達らしさでしたよね。
そんな象徴的なお二人が移動とは寂しいですね。

H岩さんも鉄子として参加されている『鉄子の部屋』はそんな散達らしさを受け継いでいる楽しい本ですね。

投稿: スコッチエッグ | 2008/06/22 11:24

この記事へのコメントは終了しました。

« 高度経済成長のハレの味か? ビフテキ。 | トップページ | オレのビジネス、「ファンキービジネス」。 »