WTO、日本政府と報道の、あきれた無様。
これはもう、貿易拡大に賛成か反対か以前のモンダイだ。
前のエントリー、「「今日の一貫」さん、も、必読。」を書いたのは、午前1時半ごろだったと思うが、今朝は、これだ。農水省は、国内的にも無能なら、国際的な交渉力も無能である。
もともと、日本政府と与党は、「自由化促進」だから、口先で「日本の農業を守る」「地産地消」を唱えていても「本気」じゃないことは、自明のことだけど、それにしても、「8%は取りたい」の、口先だけの交渉のやる気のなさは、今回、はからずも露骨になった。それにあわせて、報道の、まったくの政府と与党の「下請け」ぶりも、あらためて、あきらかになった。
下記の記事の下、ジュネーブ25日時事は、もう「大枠合意へ前進」「4%で決着」を見越している。ところがジュネーブ29日時事は、「米・中印の対立先鋭化で一転」なのだ。報道は、状況把握すらしてない。「米・中印の対立先鋭化で一転」という書き方だが、「中印」の背景には、今回アメリカの要求に抵抗してきた「途上国」の力があるのはあきらかだ。そういう動きを、政府も報道も、どう把握していたのか。
つまりは、口先では「日本の農業を守る」「地産地消」を唱える日本政府は、ドーハまで行ってはいるが、最初から交渉をやる気はない。そして、報道は、その政府のための「露払い」をしていたのだ。
こんなことは、いまに始まったことじゃないが、いったい、「食育推進論者」や「地産地消論者」あるいは天下のノーキョーさんは、この事態を、どうみているのだろうか。
それとも「食育推進論者」や「地産地消論者」も、口先だけポーズだけで、「日本の農業」のために本気にならない政府や与党とおなじなのか。そう思われても仕方ないだろう。
これほど、政府になめられっぱなしという国民もめずらしい。そもそも「農」だの「食」だの「いのちをいただく」だのと、キレイゴトをいいながら、オシャベリに熱心なだけで、無関心であり、「本気」じゃないのだ。
今回、インドや中国、「途上国」のおかげで、「日本はコメを含む農産物市場の自由化要求を当面、先延ばしできることになったが、厳しい状況が続くことには変わりがない」。とりあえず、インドや中国、途上国に頭があがらない。みっともない話である。マスコミも無様である。えらそうな顔するんじゃないよ。
交渉力のない政府やマスコミほど、強がりをいい虚勢をはり煽る。その結果、負け戦の戦争になったりするのだ。
しかし、「コメを含む農産物市場の自由化要求を当面、先延ばしできることになった」おかげで、「食育」だの「地産地消」だのをいいながら、農業利権をしゃぶり、農業の自立的経営基盤の強化を遅らせてきた連中が、またしばらく「安泰」ということにもなるのだろう。情けないことだ。崩壊する国とは、こんなものである。
関連
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WTO交渉が決裂=米・中印の対立先鋭化で一転-農業市場開放は先送りへ 【ジュネーブ29日時事】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200807/2008073000024&rel=y&g=int
21日から当地で開かれていた世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)をめぐる非公式閣僚会合は29日夕(日本時間30日未明)、農業、鉱工業両分野の自由化ルールを定める市場開放の大枠(モダリティー)で合意に至らず、交渉が決裂した。2001年11月に開始したドーハ・ラウンドが決裂、中断するのはこれで4回目。11月の米大統領選挙などを控え、交渉は当面、凍結される見通しだ。
一方、日本はコメを含む農産物市場の自由化要求を当面、先延ばしできることになったが、厳しい状況が続くことには変わりがない。(2008/07/30-01:11)
WTO交渉、大枠合意へ前進=大詰め調整続く-重要品目「4%」なら日本に厳しく
7月26日1時7分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000008-jij-int
【ジュネーブ25日時事】難航する新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の打開に向け、21日から当地で開かれていた世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会合は25日夕(日本時間26日未明)、農業、鉱工業両分野の自由化ルールを定める市場開放の大枠(モダリティー)合意に向け、大きく前進した。
日米欧など主要7カ国・地域の閣僚による会合に出席したマンデルソン欧州委員(通商担当)は記者団に対し、「前進が見られた」と指摘。「最終的な合意ではない」としながらも、大枠合意が可能との認識を示した。
具体的な進展内容は不明だが、農産品関税の引き下げ幅を例外的に小さく抑えることができる「重要品目」の割合をめぐっては、これまで、欧州連合(EU)と米国が全品目の4%を強く主張。4%で決着した場合、「8%は取りたい」(若林正俊農林水産相)としていた日本にとって厳しく、農産物の市場開放を一段と迫られることになる。
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