『雲のうえ』5号を送ったらエロ雑誌の返礼。介護保険被保険者証が届く。
(来週まで更新はありません)
過日、都内の大衆酒場でぐうぜん出会った、そして大衆酒場で、しかも昼酒時間帯にぐうぜん出会う以外、最近は会うことがない男がいる。彼は、塩山芳明腐れ縁一派というか、エロ漫画業界人。『雲のうえ』5号を見損ねているが見たいという。塩山や、その腐れ縁一派の南陀楼綾繁のような日本的私小説的フマジメなやつらがいうことなら知らん顔しているのだが、彼のばあい、チトちがう。脳の血管が切れたかつまったかして三途の川のあたりからもどり、再発したら死ぬ状態で、なおかつ昼間から酒を飲んでいる。そのうえバクチが好きで借金の山、えーと、このあいだ幾ら借金が残っているか聞いたが忘れた、それでもなおかつバクチをやる。口先だけ一丁前のこというが、日本的私小説的フマジメで、やることはヘタレな趣味のケツの穴なめあいな塩山や南陀楼とはチトちがう。なにがちがうって、ま、塩山や南陀楼のように小賢しくない、おれに近いマジメバカだ。だから、この広い東京の空の下、大衆酒場の昼酒時間帯にあったりするのだろう。そこで、もはや入手困難な『雲のうえ』5号「食堂特集」を送った。すると、豪華なエロ雑誌が送られてきた。同封の手紙には、この雑誌は塩山芳明編集で、南陀楼綾繁と山崎邦紀が映画評と書評を書いているとあった。うれしいことに、毎年小倉競馬へ行くから、そのときに掲載の食堂に寄ってみたいともあった。さすがだ、『雲のうえ』を差し上げた甲斐があった。ところで、そのエロ雑誌は「家庭内姦系の漫画&ヌード!!」を謳う『本当にあった禁断愛』だ。編集人、塩山芳明。発行人が、おおっ、多田在良。投稿をもとに漫画や記事を仕立てる「実録」風だ。近親愛、まさに愛の極地にして極致か。ああ、愛と性と生の哀歓、ここに極まれり。いまこの近親憎悪と不毛な愛の荒野の時代に美しく咲くのは、近親愛も含め、婚外の愛、禁断の愛なのだ。これこそ真の愛。と、兵庫のおじさんなら絶賛するだろう。そこへいくと南陀楼綾繁と山崎邦紀のプロフィールのロレロレ。南陀楼綾繁のばあい、「1967年島根県生まれ。『本とコンピュータ』の編集を経て現在フリー。本、映画、音楽を縦断する雑学派。著書に『路上派遊書日記』(右文書院)他。」だって。ゲレゲレゲレ、このエロ雑誌を見る連中の前で「本、映画、音楽を縦断する雑学派」、大きくでたなあ。そういや『路上派遊書日記』の2冊目は、どうなったんだ。あの本、出るんでしょうかねえって、そんなことおれは聞かれるが知らねえよ。日本的私小説的フマジメなやつだから常識がちょっとちがう、ひとのことなど顧みず放り出したまま別のことやる、そこがオモシロイのだ。黙って許してやれ。誰かに許されて立つチンポ、じゃない、立つ男もいる。嫌なら一緒に仕事をしなきゃいいだけさ。山崎邦紀のプロフィールのばあい、「印刷業界誌記者、タウン誌編集、エロ劇画誌編集、性風俗ライターを経て、ピンク映画脚本・監督、ゲイピンク映画監督。60歳。」だ。この「60歳」、泣けるねえ。「60歳」、還暦の男の、これが一生ですというプロフィールだ。もし、この、「監督」というのがなかったら、と考えた。この「監督」がない「60歳」を想像してみよう。なんでもいい「監督」というのはスゴイのだ。「監督」になれて、よかったね。ああ、おれのばあい、65歳になるというのに、なんの監督にもなれない。そうなのだ、今月で65歳になるというので、さいたま市から届いたのが、介護保険被保険者証とシルバーカードなのだ。シルバーカードってのがね、裏に住所や氏名や生年月日、血液型、緊急連絡先などを書いて、角の穴にヒモを通して首からぶらさげるのですよ。つまり認知症で徘徊したときも役に立つ、ってやつなんですね。ああ、おれはこの保険証とカードを手にして、生と愛を奪われ、急に老けこんだ気がした。これはなんというのかね、生きる希望を失わせるね。そりゃまあ、どんなに元気にしていても、死ぬときは死ぬのだが。これは、ハイ棺おけ行き手続き、第一カテゴリーです、というかんじだ。そこへいくと、まだまだ60歳すぎても禁断愛でがんばっているジジイたちが活躍するエロ雑誌『本当にあった禁断愛』は、希望だね。エロ雑誌をバカにしちゃいけないよ、老人たちに夢と希望、生きがいを与えるのだ。とくにこれは、塩山芳明や南陀楼綾繁や山崎邦紀といった、救い難い奇才が関わっていることだし。この『本当にあった禁断愛』は、たしかコンビニでも売っていると思うが、公費で全国の老人施設や老人福祉センターなどに置くべきだろう。さすれば、老人たちは腹上死あるいは腹下死するまで、希望と夢と元気に生きるにちがいない。それは老人医療の負担の軽減につながる。と、兵庫のおじさんなら主張するだろう。ともかく、よしっ、おれは、シルバーカードを首からぶら下げて、禁断の婚外愛に燃えるぞ。愛を叫ぼう。愛してるよ~。
ってことで、ひさしぶりに、ハッタリ塩山と南陀楼に、監督山崎の、3バカのリンクだ。
塩山芳明総指揮の漫画屋のサイト…クリック地獄
南陀楼綾繁のブログ…クリック地獄
山崎邦紀…クリック地獄
忘れるところだった、画像で読める見出しは、塩山編集の仕事だとおもう。内容が希薄な評論めいた文をサイトに書きなぐっては本にするズボラをしているより、こういう見出しを集めて本にしたほうが、はるかにオモシロイ。やっぱ、それなりの編集者なのだな。と、ほめて?おこう。
(文章の都合上、ご高名なみなさんの敬称は略し、呼び捨てにさせていただきました)
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コメント
ヤマザキさん、どーも。出かけていてレスが遅くなってすみません。多田さんのおかげで、楽しませてもらいました。やっぱ、いまどき「センセイ」なんかゴロゴロいますが、「監督」は「センセイ」ほどはいませんからね。なんだかんだいっても、どんな監督でも監督です。しかし、「ケダモノ名画座」なんて、よく考えつく、さすがシオヤマ編集長であります。機会があったら、これもまた見たいものです。
投稿: エンテツ | 2008/09/09 18:12
笑いました。『雲のうえ』送ってもらったお礼に、近親相姦専門のエロ本を送る多田くんもどうかと思いますが、このように取り上げて頂き、執筆者の一人として光栄の限りです。わたしの略歴に関しては、シオヤマが何字以内で送れというので送ったのですが、ゲラを見たら勝手に60歳というのが付け加えられていました。まだ誕生日前だったのですが、これがまあシオヤマ流の辛らつさ(?)なのだろうと放っておきました。「監督」に関してはピンク映画ですからね。「現場監督」より格下です。大兄の書くことと考えることの一致した文体を辿りながら、安吾の巷談を思い出しました。新潟市は2年ぐらい前から「安吾賞」というのを設定し、これまで野田秀樹と野口健に贈っています。小池百合子の選挙事務所に出入りするような薄汚れたアルピニストなどより、大兄の方がよほど安吾賞にふさわしいと思いました。なお、近親相姦専門誌ぐらいでのけぞってはいけません。先日シオヤマが、今度は獣姦専門誌に「ケダモノ名画座」というのを書けと言ってきました。さすがにわたしも唖然としましたが、原稿は喜んで引き受けました。
投稿: ヤマザキ | 2008/09/04 07:27