真摯な姿。
こんなニュースがあった。
asahi.comニュース国際ヨーロッパ記事
http://www.asahi.com/international/update/1108/TKY200811080150.html
「体がついていかない」と三つ星返上 仏レストラン2008年11月9日8時25分
【パリ=国末憲人】ミシュランガイドで最高の三つ星に格付けされ、日本の雑誌でもしばしば紹介されるフランス北西部カンカルのレストラン「メゾン・ド・ブリクール」のシェフが突然「肉体的にやっていけない」と三つ星を返上し、近く閉店する方針を明らかにした。関係者に衝撃を与えている。
オリビエ・ロランジェ氏(53)。8日付フィガロ紙によると、5日にミシュラン社を訪れ、同ガイドのナレ編集長に星返上を告げた。「もはや毎日昼と夜、調理台に立てない。肉体的についていけない」と説明。編集長は驚きながらも受け入れたという。
店は12月15日に閉店。今後は、近くの村に開いてきた気軽なビストロ(定食屋)の経営に力を入れるが、ミシュランの評価は望まないという。
テレビに出たり世界に支店を展開したりする他の有名シェフと異なり、ロランジェ氏は一貫して故郷にとどまって地道に料理に打ち込んだ。その真摯(しんし)な姿がかえって共感を呼び、近年は世界中から食通が来訪。日本のガイドや雑誌でも取り上げられ、日本人にも人気の店となっていた。
オリビエ・ロランジェさんは真摯な姿勢を貫いている、ということなのだろう。そして彼が真摯だとしたら、いったいそこに押しかけた人たち、あるいはミシュランやミシュランの真似事をして食べ歩き、星印をつけたり印籠語を言い放っていい気になっている人たちは、どういうことになるのだろうか。ましてや、自分の自己顕示のために「食」や「料理」を利用するような人たちは……ワルってこと?
飲食店を評価して歩くことは、やってはいけない悪いこととは思わない。だけど、やり方があると思う。自分は、こういう考えや基準で店を評価するということを明確にし、評価して欲しい飲食店を募集し、エントリーした飲食店だけを評価して歩く。それなら、ある種の競技であり、お互いの切磋琢磨につながるということもあるだろう。B1グランプリなどは、形態はちがうが、エントリーを前提としていて、そういう効果を上げている。それに、エントリーする飲食店の数や性質により、評価する側も人気度などが評価されることになり、現状の、一方的にメディア側の人たち、ライターなどによって「裁かれる」状態より公平だと思う。
オリビエ・ロランジェさんが力を入れようというビストロ(定食屋)は、たまさか来る食べ歩きの人たちではなく、地域とのつながりで成り立つ、まちの食堂だ。そういう飲食店は、もちろん日本にも、大衆食堂や酒場などたくさんあって、日本一になりたいとか、有名店有名料理人になりたいとかといったことではなく、ちがう考えでやっているところが少なくない。そこへ頼まれもしないのに押しかけて、たくさん食べ歩いている俺は料理を知っているのだ天下のうまいもの好きだ味覚の大家だ厳選された正しい人間だ、ってな顔して評価を下すようなことは、まったく筋違いのカンチガイ傲慢だろう。オリビエ・ロランジェさんのように真摯になりたい。
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コメント
「ミーハー」って、そういえば、むかしの「ミーハー」は、まだカワイイところがあったような気がするけど、いまどきは「バ」がつきそうな感じで……。
ま、「我が家」は我が道をゆくで。
また寄らせてもらいますよ。
投稿: エンテツ | 2008/11/14 00:33
ミーハーな客って困りますよねぇ
事前の情報で頭がいっぱいだから
食べ物を口に入れる前に褒めちゃうような・・
ま、(そこまでして旨くする必要はね〜だろう)
なんて思って料理してる我が家には
あまり関係ないでしょうけど。
投稿: タジリ | 2008/11/13 14:43