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2009/01/09

東大宮-蓮田、東北本線「都鄙臨界地帯」と麦味噌。

「上野発の夜行列車 おりた時から~」という「津軽海峡冬景色」は、けっこう好きな歌だ。1977年(昭和52年)に石川さゆりが歌いヒットした。そのあと、おなじ年ではなかったかも知れないが、夏と冬、歌とは逆に、函館から青森へ、青函連絡船に乗った。夏のときは、たしか8月上旬で快晴だったが、冬は1月だったか2月だったか、函館を出港するときは空は暗く曇り雪がちらついていた、それが津軽海峡の真ん中へんを過ぎたあたりで急に暗闇から太陽の下へ出たように晴れた。北へ向かう、この歌の気分とは大分ちがったが、津軽海峡冬景色は印象に残った。

引っ越してきたここの最寄駅は、東北本線の東大宮駅だ。東京方面から来ると大宮駅から二つ目。この線路の先、北には青森があるんだなと思う。そして青函連絡線を思い出す。

そのことじゃない。

東大宮に越してきて、先日、いま宇都宮線と呼ばれることが多い東北本線東大宮駅から電車に乗って、一つ北の蓮田駅へ行った。そのとき、車窓から見える景色を眺め、このあたりは一つの、都(みやこ)と鄙(ひな)、つまり都会と田舎の地理的臨界になるのではないか、そういうふうに見るとおもしろいと思った。

つまり、東京都心のほうから電車で来ると、上野から東北本線を利用したにせよ、ほかの高崎線や京浜東北線や埼京線を利用し大宮で東北本線に乗り換えたにせよ、東大宮までの線路沿いは「まち」が切れることなく続いている。東京の「まち」続きなのだ。空き地があったにせよ小さく、建物に囲まれている。ところが、電車が東大宮駅を出て東大宮の「まち」を抜けると、蓮田駅に着くまでの間に、田畑が広がる。

そのことが気になったので、臨界を確かめたいと思い、東大宮から東北本線に沿うように北へ向かって歩いた。すると、それは、びっくりするほど明快に存在した。意外なことに、かなりキッパリと「まち」が切れ田畑に変るところがあった。

つまり、南北に走る東北本線とほぼ直角に線路をまたいで交叉し東西に走る、国道16号東大宮バイパスの南側(東大宮や東京方面)まで「まち」は続いているのに、16号の下を通り抜け北側(蓮田や青森方面)に出ると「まち」はパタッと消え、田畑が広がるのだ。けっこう過激に景色が変る。

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上の画像、16号の南側の歩道陸橋から撮影した。右端が西へ向かう16号車道陸橋で、この下を抜けて北側に出ると、唐突という感じで、下の画像になる。右端の建物の向こうに東北本線の列車。

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下の画像。北側の歩道陸橋をのぼり東北本線蓮田方面を見た。陸橋は上尾市になるが、田畑から先は蓮田市。東北本線の右側、画像右端奥の方角あたりに、有名な神亀酒造がある。先日、大竹聡さんが神亀へ行ってみたいと言っていたが、近々外観の撮影だけでもしてこよう。蓮田には、もう一つ有名な酒蔵がある。池袋で飲むときによく利用している「清龍」を直営する清龍酒造。画像真ん中へんに見える林の向こうの方角にあるはずだ。この二つの酒蔵が同じ蓮田市に、しかも線路をはさんで反対側にあるのは、なんだかコンニチのロカールな酒蔵の二つの違う対極的な生き方を象徴しているようで、おもしろい。首都近郊ならではかも知れない。

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次の画像は、上の画像の反対、16号の南側の歩道陸橋から撮影した東北本線の東大宮や東京方面。線路の右側に、1970年前後を代表するような郊外型大規模団地の尾山台団地がある。ここは上尾市になる。

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地理的「家並み街並み」的にみれば、このあたりで、東北本線の両側に続く「首都圏」が、東京方面から来れば終わり、青森方面から来れば始まる。と、考えることができそうだ。

東大宮は、さいたま市見沼区で、北側に上尾市と蓮田市、東側に元岩槻市のさいたま市と合併して岩槻区になった地域と隣接している。見沼と上尾については確かめてないが、岩槻と蓮田は、なんと、「麦味噌」地帯なのだ。

「なんと」と書いたのは、麦味噌は山梨県あたりから西が「常識」で、関東の麦味噌は、ほとんど知られてない。おれも「常識」を信じて調べもしなかったのだが、以前に料理研究家の瀬尾幸子さんに岩槻には麦味噌があると教えられ、その後、もしかするとと思い調べたら、蓮田も麦味噌があることがわかった。麦米二毛作地帯だし、「東京化」がゆっくりだったおかげかも知れない。

「臨界地帯」は、なんだかおもしろい、食文化的にもおもしろそうなのだ。そのことは、またいずれ。


今週中、といっても、今日はもう金曜日だが、やらねばならぬこと、片づきそうにないなあ。原稿は締め切りを守れるが、プランをまとめるのは、時間×仕事量のように、そうはなかなかうまくいかない。気分転換に、このようにブログを書いたり…酒を飲んだり…うふふふ。それにしても「芸術よりエロが好き」ってのは、いいと思うね。愛してるよ~。

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