山形、北海道、長野、そば産地の蕎麦。
山形県、北海道、長野県といえば、むかしからそばが有名だ。ちかごろは、どこでも、減反の転作でそばの作付けが増えているのだが、それでも、この三つの道県は、そばの作付け面積だったか生産量だったかで、ベスト5に入っているはず。
というわけで、ってことでもないが、大蔵村でも美瑛町でも大鹿村でも、蕎麦をたべた。「産地」という気分があるかもしれないが、どこも、そばの香りが強く感じられた。もちろんいずれも、手打ちで、だしにも、それぞれ特徴があった。
山形県大蔵村のそば畑は、まだ種まき前だった。土をおこした畑を写真に撮った。
7月16日13時すぎ、役場から四ヶ村棚田へ行く途中の、郷土料理伝承施設「ふるさと未来館」で食べた。ここは、伝承料理としての蕎麦であるから、家庭で蕎麦が常食であり、蕎麦を打つのは「おふくろ」の仕事であったのだろう、そのおふくろさんたちが料理をつくり、彼女たちが打った蕎麦を食べさせる。
「もり」にあたる「板そば」が800円。「鳥そば」という地鶏のダシのきいた汁の蕎麦が700円。両方を一つに膳にした「とりもり」1000円を食べた。みるからに素朴な、やや太い麺、家庭料理らしい、力がつく蕎麦だった。
北海道美瑛町では、2009/08/03「さまざまな新規就農、あるいは移住者。美瑛町では、フツウのスタイル。」に画像があるように、そばの花が咲き誇り広大な美しい景観をなしていた。収穫直前といったところか。
8月1日13時ごろ、美馬牛の上富良野との境の丘のうえにあって、眺望のよい「花人庵(はなびとあん)」に入った。若い、夫婦とおもわれる二人で、50席以上もありそうな大きな食堂を切り盛りしていた。そば以外のメニューも、いろいろあったが、ご主人は、眺望のよい窓際で蕎麦を打っていた。おれも秋山カメラマンも、もり700円一枚では、腹の虫がおさまらず、うまいことでもあり、もう一枚ずつ追加した。
長野県大鹿村は、そばの花を見かけたような気がするが、全体的には、これからのようだった。
8月6日11時ごろ、標高千メートルほどのところにある「するぎ農園」の「山の食堂」で、食べた。ここは、耕作放棄地が広がりそうな地域に、村が農村体験施設としてつくったものだ。しかし、いずこもおなじ、「官」の商売はうまくいかず、経営はゆきずまった。ちょうど、小泉改革の規制緩和で、税金を投入した官の施設も「民」に貸すことができるようになった。そこを、たしか神奈川県からだったかな?5年前に移住し新規就農したご夫婦が借りて始めた。蕎麦打ち体験もでき、観光できたらしい家族の子どもたちがそばを打っていた。
もり蕎麦、700円は、蕎麦もだしも、とても香りがよくうまかった。蕎麦は、平地で食べるより高地の、やや湿気をふくんだ、それでいて冷たい締まったかんじの空気のなかで食べると、一層うまいような気がした。空気も、薬味というか、おかずというか、なのだな。
今回は、ほかにも食べまくっている。なにしろ、そもそもカメラマンというのは、健啖家であることが多いようだが、秋山さんの食べる量は、ほれぼれするほどすごいのだ。なので、安心して、しゅっちゅう食べ、たくさん頼むことができた。
しかし、美瑛町で入った居酒屋は子連れの家族が多い大衆食堂のような居酒屋だったが、なんの気なしに、あれもこれも頼み、出てきた量の多さに、二人で思わず「ぎゃあ」と声をあげてしまった。その声を聞いて、ついたてをはさんで隣にいた地元の客が、そんなので驚いちゃいかん、これを見よ、と自分たちのものを見せてくれたが、ほんと驚いた。しかも、ただ量が多いだけじゃなく、料理に工夫があって、うまい。われわれは残すのがもったいなく、もう馬になった気分で、真剣に格闘し馬食したが食べきれず、残ったのは容器に入れてもらい持ち帰り、民宿のひとにあげたのだった。機会があったら、そのスゴイ量の料理も紹介したい。北海道の広さのような馬食、おそるべし。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント