かくも、あやしき誘惑。
夜になると、東大宮の駅からウチに帰る途中のビルの入口に、「エステひまわり」の行灯(あんどん)看板が出る。ほかに夜営業の看板はないし、このあたりは国道など大通りが交差するところだけど、夜の8時を過ぎると街灯以外の灯かりはないから、とてもひっそりさびしげに目立つ。
完全に「手づくり」だ。夏ごろは、よく確かめてないから素材はわからないが、白い和紙の雰囲気のものに、「エステひまわり」の手書き文字があって、それが、なんとなく灯篭流しのようで、夏の夜の風情なのだなあとおもったりした。
そのころは、行灯の奥のビルの1階を見ると、正面に、ドアーが開け放たれた入口にカーテンがたれ、あやしくゆらめいているのだった。いまは、寒くなったからか、明るい濃い鮮やかなブルーに塗られた鉄ドアーが閉まっている。
とにかく、なんだか気になるのだ。どんなひとが、これをつくって、ここに置いているのだろう。その部屋のなかでは、なにがあるのだろう。
この画像の撮影は、午前0時15分ごろだ。そんな時間の、こんな何もない場所の「エステ」って、どんなところだろう。酔った勢いで、いつか入ってしまいそうだとおもったとき、そうか、そういう客を誘う行灯なのかも知れないと気づいた。そのうち覗いて見たいという誘惑は、かなり強い。できたら、料金表でも出ていたら。いやいや、まずは覗いて、「いくら? なにしてくれるの?」と聞くべきか。もしかして「チューハイ一杯」と注文してもよかったりして…。
なにはともあれ、このように生存できる「まち」があるってのはいいことじゃないか。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント