大晦日、雪の秩父路、厳寒の元旦。
浮世に生きるかぎり、浮世の義理というものがある。大晦日は正午過ぎに東大宮を発ち、熊谷でJRから秩父鉄道三峰口行きに乗換え、秩父へ向かった。途中、長瀞あたりから雪が舞い始めて、秩父駅に着いたときには、景色もかすむ横殴りの雪だった。そもそも義理とはメンドウなものだが、なにも雪で歓迎されることはないだろうと、自虐的な気分でバスに乗り込む。
バスは山間を走る。行くたびに、よくぞこんな厳しい山奥に住み着いたものだと思う。ま、もっと寒い高地や北極圏に住み着いているひともいるのだから、おどろくことはないのだが、人間の歴史を不思議に思う。
着けば、酒を飲むだけだ。イチオウ、みなおれが作る鍋を期待しているようなので、大晦日の晩も元旦の晩も鍋を作り鍋奉行をつとめるが、ほかにやることはない。幸い、紅白歌合戦を見るひとはいないので、あのテレビ番組に義理で付き合わされずにすむから助かる。ひたすら、好きなだけ飲んで、好きなだけ寝る。しかし、室内の温度は12度をこえることはない。そういうところでも、人間は、けっこう楽しく生きられるものなのだな。おれは、酒さえあればだが。
元旦は晴れたが、気温は上がらなかった。2日は、晴れて気温も上がり温かだった。義理を果たして帰る。
今年の年賀状、ビジネス戦士たちは、厳寒を覚悟のようだ。おれより2つぐらい年上だが、「ビジネスの前線」といったところで活躍の男子は、「最悪の政治・経済環境の中で、事業を如何に存続することができるかが問われる年のようです。限界に挑む!をテーマにスタートします、体調には充分なご配慮をしてください」とあった。うへへへ、70歳近くになって「限界に挑む!」とは、元気がいい。ま、よかろう、おれも、やろうじゃないか。って、飲酒の限界に挑むのだ。いやいや、ビジネスの存続もね。厳しい環境の中でも、人間は楽しくやれるものである。
ってことで、新年明けましておめでとうございます。本年も、よろしく。
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