「アートの力を信じる」…地域とは、好きでもないやつと暮らす場所。
2010/01/13「神田神保町に「路地と人」オープン、飲酒歓談「半酒場」でおれがゲスト。だいじょうぶか。」に告知したように、31日は、神田神保町の「路地と人」の「半酒場」で、ゲストに招かれ「本と美術を話題に飲食歓談」する。これは、15日から始まっている「路地と人」のプレオープンイベントの最終日だ。
その前々日、29日は、「ザ大阪スライドショー」と題するイベントがある。「1月23日(土)に大阪で行われる二つのイベント「OCA!シンポジウム アートの力を信じる。~釜ヶ崎での取り組みを事例に、地域とアート、社会とアートのかかわりをさぐる。そして、世界とであいなおす。」(レポーター:原田淳子)と、「やっぱり本が好き!国際ブック・アート・ピクニック国際交流セミナー ブックアートをめぐって」(レポーター:言水ヘリオ)に行ってきた感想とレポート」というものだ。なんとか都合つけて参加したいと思っているのだが…。
「OCA!シンポジウム」は、昨年、おれもパネラーで参加した、「場所の力シンポジウム」の主催者だった大阪のココルームが主催する。
「アートの力を信じる。」というフレーズに感じるものがある。ココルームの代表であり詩人である、上田假奈代さんらしい、力強さを感じる。また、「釜ヶ崎での取り組みを事例に、地域とアート、社会とアートのかかわりをさぐる。そして、世界とであいなおす。」にも、ココルームが取り組んできた「アート」というものが、どんなものであるかを感じる。
「場所の力シンポジウム」については、テキトウな報告しか当ブログに書いてないが、「まち」と「地域」と「市場」、コミュニケーションや暮らしなどを、もう一度考え直すキッカケになった。そして、たまたま、そのあとの夏に「日本で最も美しい村」連合の取材を経過して「地域」について考えることがあり、なにか頭の中でスパークした。
けっきょく「まちづくり」だの「コミュニティ」だのなんだのというが、そのたいがいは、「地域」のことではなく、「地域」と錯覚した「まち」、「まち」と錯覚した「市場」や「業界」や「趣味の仲間」のことに収斂している。たとえば、「本好き」「アート好き」がいっとき集まったところで、無意味ではないだろうが、好き仲間をこえる広がりにはならない。もちろん「場所の力」も育たない。と、これは前から言い続けていることなので繰り返さない。
では、「地域」とは何かということを突き詰めてみよう。それは、嫌いなやつとでも一緒に過ごさなくてはならない場所なのだ。「嫌い」というのは極端だが、気が合わない、好みもちがう、そういう集合が地域である。もちろん「地域」には、町村レベルの地域から、アジア太平洋地域といった大きなレベルの地域まである。
よく知っているわけでもないのに、嫌いである、気が合わない、好みがちがうものたちが、どうやってつながるか。そこにアート、あるいは別の言い方をすれば「本と美術」の存在を見つける。それこそ、「世界とであいなおす」ことなのではないか。それがまあ、「場所の力シンポジウム」に参加し、大阪は西成の動物園前通りのココルームを訪ね、その活動を垣間みて、おれなりに気がついた、ココルームのアートだと。ま、アート=表現ということだと、おれは解釈しているが。
いま、とかく、大都会ほど、市場と業界(=カネ)と好きな気の合うひとたちとつながっているだけで生きていけるような錯覚が支配するところであり、「まち」という言葉のなかに「地域」を見失いがちだし、それはアートつまり表現を見失うことになりはしないかと、そんなことを去年の後半ごろから考えている。
「感性」だのといったものでセグメンテーションされた飲食店がはびこる以前は、趣味嗜好の違いなど関係なく、その地域の人たちは、その地域の大衆食堂を利用していた。そこに地域があった。
表現=本やアートに関心があるなら、みみっちい好き嫌いに拘泥するのではなく、「世界とであいなおす」ことに向かいたい。これまで本やアートや美術などクソクラエと思ってきたおれは、そう思うのだった。
それにしても、23日の大阪のもう一つのイベントのタイトル、「やっぱり本が好き!国際ブック・アート・ピクニック国際交流セミナー ブックアートをめぐって」とはなあ。おれも、イチオウ「フリーライター」の肩書だし、本を書いたりしているのだが、「やっぱり本が好き!」って人たちのために書いているつもりはなく、どうぞご勝手にと思いたくなる。「生きている世界とであいなおす!」とでも、いえないものか。それはそれとして、成功を祈りたい。
「OCA!シンポジウム アートの力を信じる。~釜ヶ崎での取り組みを事例に、地域とアート、社会とアートのかかわりをさぐる。そして、世界とであいなおす。」
http://www.cocoroom.org/project/oca/symposium.html
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コメント
おっ、假奈代さん、うれしいですね。お忙しいところ、コメントありがとうございます。私は、もちろん、酒かっくらいながら元気でやっています。
しかし、假奈代さんとココルームは、元気をこえて、疾風怒涛ですね。シンポジウム、行けなくて残念でしたが、明日29日、「路地と人」で報告を聞くのが楽しみです。まだまだシンポジウムのうねりは続くでしょう。これから、もっと。
そうですねえ、現場の渾沌。めんどうの多い渾沌。その「劇場」から聞こえてくる、假奈代さんの言葉は、いつも背筋にビッビッときます。
いわゆる昔の大衆食堂は少なくなっていますが、あちこちに大衆食堂のような場所が生まれているようで、楽しみです。
また、ぜひ、寄らせてもらいます。時間を信じて!
投稿: エンテツ | 2010/01/28 18:36
えんてつさん!!!こんにちわ。おげんきですね。
シンポジウム、おかげで無事おわりました。ココルームではめすらしく大規模なものでした。
地域〜好きでもない奴と暮らす場所 というのは、ほんまにそうなんですね。日々、好き勝手なこという人々と好き勝手してるわたしと、なんとか、時間を信じて、ほがらかにいたいとおもうんですねえ。現場はなんと混沌としていることか。そして、シナリオのない「劇場」のようです。
また、おめにかかっていろいろお話したいです。大阪にいらっしゃったらおたちよりくださいね。ココルームって大衆食堂だなあとおもうときがよくあります。
投稿: 上田假奈代 | 2010/01/28 14:51
泥酔アートで、世界とであいなおす!
投稿: エンテツ | 2010/01/22 14:47
「世界とであいなおす」も これまたツボ。
2010年、いきなりいろいろオモシロ過ぎて!
投稿: 須田泰成 | 2010/01/22 14:11
>「アート」を部分いろいろ入れ替えると面白いですね。
そうですね、だいたい「アート」ってのは、かなり幅のある言葉のような気がしますし。
「世界とであいなおす」って言葉も、かなりよいですね。であいなおしてみれば、嫌いだと思っていたやつも、あんがいそうじゃなかったりして。
もしかすると、スロコメも「であいなおし」の場所なのかも。
24日、楽しみにしています。
投稿: エンテツ | 2010/01/21 13:34
「アートの力を信じる」…地域とは、好きでもないやつと暮らす場所。
いい言葉ですねー!
「アート」を部分いろいろ入れ替えると面白いですね。
24日(日曜)は、かなり笑えてグダグダになると思われます。
変な人間もたくさん呼びたいと考えております。
投稿: 須田泰成 | 2010/01/20 23:20