15、16、17と、いや18もか。月曜日は、たしか一度買い物に出たかな、火曜日は夜に食事をしに出ただけ、水曜日も木曜日も外には出ず風呂も入らず。ま、風呂に入らないのは、単なる不精なだけで、1週間でも1か月でも、入らなくて平気なのだが。
別々の仕事の校正と原稿を、メールと電話でピンポンし。そのほか、細々年度末相談事とか。「大衆めし」の原稿締め切りは、ちゃんと守り、イントロと2本のコラムをあげ。えーと、ま、ああでもない、こうでもないで時間がすぎ。
今日は、よい陽気だから、洗濯をしたのち、仕事机に向かい頭上の天窓のブラインドを開けて、しばし眺める。井の中の蛙の気分。「井の中の蛙、大海を知らず」とかいうね。そのあとに「されど天の青さを知る」とかもいうね。
が、しかし、おれは蛙じゃないんでね。おれが、ここから見ている天の青さは、ほんとうに天なのだろうか、天の青さなのだろうか、この窓枠からはずれたら、もうちがう青さなのではないか。って、考える。そりゃ、もう外を知っているからいうのだが、それにしても、一つ所を見ていても天の青さを知ることはできないだろう。やはり、空も海も、外に出て見なくてはなあ。自分の「井の上の天の青さ」しか知ることはできない。それは「天の青さ」と、必ずしもおなじではない。
だけど、また人間は、「井の中の蛙、大海を知らず」と言われると、ナルホドと思い、そのあと、「されど天の青さを知る」とつなげると、さらにナルホドと思うものなのだな。そうやって、騙される。ライターは、そういうふうに、言葉をあやつって、読者をたらしこむわけだ。
そのとき、この天窓のように、どの方向に向かって、どう窓枠をもうけるかというのが、編集上は大事で、つまり方向性とフレームというか、ま、たいがいのプランニングにおいて大事になる。で、それがちゃんとしてないと、「よいできあがり」にならない。マーケティングにしても、広告にしても、本にしても、雑誌にしても、建築物にしても……。
だけど、この「よいできあがり」ってのがクセモノで。方向性とフレームがしっかりしているほど、読者をたらしこみやすい。そういうことも含まれる。つまり、「よくできている」ものに接すると、鵜呑みにしやすい、よほど気をつけないと、上手な手品のように騙されやすい。ようするに、その方向性とフレームのなかに、はまってしまうってことなんだな。そこから見える空の色が、本当の空の色だと思ったり、全部の空の色や一番よい空の色を知ったつもりになってしまう。ま、そんなに上手じゃなくても、そういうことなんである。
で、あえて、その方向性やフレームを、いったん組み立てたのち崩しながら書くとする。するとたいがい「奇書」と言われるものになる。ただでさえ、文章は読んで理解することが大変なことが少なくないのに、奇書となると、ますます大変で、ま、「一般」には敬遠される。ところが…、ここから先は書くと長くなるから、やめる。
おれの著書は、『大衆食堂の研究』も『ぶっかけめしの悦楽』も『汁かけめし快食學』も「奇書」と言われることが多いし、何度も言うように、おれも自認している。ひとによっては、「変化球」という。変化球より直球のほうが、読者は打ち返しやすいから売れる。と、言われたこともある。でもさ、ヘソも根性も曲がってるんだから、仕方ねえじゃないか。って逃げる。なーんてね。そうかな?
ま、とにかく、天窓を見上げ、井の中の蛙気分なおれは、チョイと外の世界も見なくてはと、おれはやっていないツイッターの検索を試みた。以下のような、あんばいだった。1995年の『大衆食堂の研究』について、つぶやいている方がいて、おどろいた。もう発売から15年なのに、このような方がいるなんて、シアワセ、うれしい。知らない方だ。「全日本オヤジ選手権」のことをつぶやいているのは、ナベさんとオオノさんだな。呑み会しながら、一緒に見たいね。
「エンテツ」でヒット。
nabe_saketsuma: おっ、オヤジつながりですね。エンテツさんの雄姿を早く観たいモノですw RT @kowskeohno 今、@nabe_saketsuma さんの呟きを眺めてたら、思い出してしまいました。 と、いうことで、Amazonで購入。「全日本オヤジ選手権」!! まだ予約だけど、発売イベントも
3 days ago from web mbaba47: @HRKTNK まさに奇書ですが、95年の段階で今に連なる資本と街の問題、街と人間の問題、食と人間の問題に切り込んでらした事の凄さ、を思ってしまいます。@エンテツさん
7 days ago from TwitterGadget kasamark: @hayoaokono エンテツさんのわははめしが書籍化。写真、サイトウさんらしいですよー!http://j.mp/dbUKOu
「大衆食」でヒット。
onthebriiidge: 再読。やっぱおもしろい。/「アートの力を信じる」…地域とは、好きでもないやつと暮らす場所。: ザ大衆食つまみぐい
「遠藤哲夫」でヒット。
nbmt75: 力強い読み応えある本です。オススメ! RT: @HRKTNK: なんとamazonに遠藤哲夫さん「大衆食堂の研究」が再入荷。 http://bit.ly/acWEO5 街場の食に「状況」を再設定するためのヒント満載。未読の方ぜひ。WEB版→http://bit.ly/aD7ERv
井の中の蛙も、雲の変化を見ていると、けっこうあきない。でも、やっぱり、外へ出よう。

