どやさ!
明日発売の京阪神エルマガジン社の『ミーツ・リージョナル』6月号をいただいた。ミーツにしては、めずらしく、表紙に今いくよ・くるよという「有名人」が登場している。これは、特集のタイトル「どやさ!大阪24区」と関係があるからだな。
おれは、写真を見ても、どちらが「いくよ」で「くるよ」か判断つかないのだが、編集前記で福山嵩朗さんが、こう書いている。「自分のイメージの向こう側に目をやることで、街に長年添い寝する店や街の血流を活性化させる新しい動きに出合える。そうなれば最寄り駅からそこまでのアプローチすらアテとなる。本当は知らなかった各区には、今くるよ師匠よろしく「どやさ!」となれる濃厚エンタメ店が山盛りだ。」
つまり、表紙の写真の左が、くるよ師匠であり、「どやさ!」の人だとわかる。
ああ、だからどうしたってか。いやさ、いいねえ、「どやさ!」も、「自分のイメージの向こう側に目をやること」も。自分のイメージを「どやさ!」と変えていかないと、いつも同じイメージを抱えたまま、同じところをウロウロして、同じイメージの人やことやものと出合い、それで何か知ったつもりになってしまう。そういうふうに、近頃は「型」にはまりすぎじゃないかと思う。だからさ、いっとき人が大勢集まって、にぎやかなようでも、じつはサッパリ活性化されていない、ただ「型」のカタマリの数が多く大きくなっただけ、なんてことが多いように思う。
「どやさ!」と、自分のイメージを自分で突き破るってことが、もっと必要だよなあ。ってぐあいに「どやさ!」って言葉を使っていいのかどうか知らんが、「どやさ!」が気に入った。
ところで、この一冊に詰まった「濃厚エンタメ店」を見ていたら、ほんと、おもしろいのだが、とある見開きで、ふと手がとまった。そこだけ、「濃厚エンタメ店」とはちがう趣きの静寂が漂う。見れば、ドコモの広告ページで、ナなんと木村衣有子さんが登場しているではないか。しかも、この、エレガントなファッション。うーむ、ということは、おれと飲むとき以外は、こういうかっこうなのか、と考えてみたり。女は、バケモノだからなあ。
木村さんが座って店主と会話している店は、先日発売になったばかりの木村さんの著書『大阪のぞき』にも登場する、大阪市中央区北浜にある、「北浜ハイボール ハマ」なのだ。チョイと、この画像ではわかりにくいが、店主の濱恵一郎さんの背後の壁に、ずらり空のサントリーの角瓶が並んでいる。
ここに木村さんが初めて来たときの話があって、「[ギャラリー箱庭]さんにうかがった帰りだと思います」とある。ってことは、これは、場所からしても、[ギャラリー箱庭]とはいうが、正確にはギャラリー[アトリエ箱庭]のことであろう。
[アトリエ箱庭]の幸田さんとは、以前に東京で一度、そのころ東京に勤務していた女体の詩人イシイさんの紹介で飲んでいる。そのとき貰ったのが、最近は3号目が出ているらしいが、箱庭が発行する「ジオラマスキー」の創刊号なのだ。それを、このページと一緒に撮影し掲載する。おもいがけないところに、いろいろ接点があるものだ。
とにかく、この広告の木村さんも、おれの「自分のイメージの向こう側」といえるだろうか。でも、「どやさ!」という言葉が似合いそうな感じでもあるなあ。
って、これで終わったわけじゃない。特集タイトルの「どやさ!大阪24区」だ。東京は23区だから、区の数では、大阪の方が多い。これも、関東の多くの人たちの大阪に対する「自分のイメージの向こう側」のことではないだろうか。
もともと大阪は、その人口の密集度からしても大都会だったが、大阪市の人口は1940年(昭和15年)に最高の325万人をピークに下がり続けている。
東京は現代になってからも、荒野を開拓しながら膨張し、人口増にしたがい郡町村を飲み込んで都市化がすすみ、区が生成した。だけど、大阪市は、むかしからの都市部に人が集まって区が生成している。いまでも大阪市の人口密度は高いほうだと思うが、戦前は、かなり高かった。直近データかどうかわからんが近年は、大阪、221.27平方キロ、2,645,305人。東京区部、621.97平方キロ、8,742,995人。
大阪は、大都会であっても、「帝都」だったことは、かなり古いむかしのわずかをのぞいてはない。逆に、東京は、現代の「帝都」であり、いまでも中央政府の極端な一極集中のもとで膨張し続けている。
狭い大坂市が、人口は1940年(昭和15年)に最高の325万人をピークに下がり続けている。つまり、大阪の「生き方」は、狭い国土で人口が減り続けている日本の「生き方」のモデルになるのではないかとも考えられる。これだけの都市で、これだけの個性を持つ都会は、なかなかおもしろい存在だと思う。
そういう目で、木村さんの『大阪のぞき』や『ミーツ・リージョナル』を見ると、たいがい中央のマスコミがつくってきた、世間や市民の「常識」という神話と添い寝している「自分のイメージの向こう側」に、また別の姿が見えたりする。
どやさ!
あっ、なんの話かわからなくなったから、おわり。
アトリエ箱庭
http://www.haconiwa-k.com/
そうそう、6月1日発売の『ミーツ・リージョナル』7月号の特集は「酒」キーワードですがな。
おれも約2000字、書いています。校正は連休あけ。
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