『東京あたらしい下町』、気になる「いり豚」「ポテトフライ」。
先日、いただいた京阪神エルマガジン社のミーツ・リージョナル別冊『東京あたらしい下町』だが、編集力がきわだっていると思った。縦横無尽の編集力、なーんて書くとほめすぎかも知れないが、でも、そうなのだな。オールドもニューも、大衆店も高級店も、食べ物も雑貨も落語も…「まち」まるごと、ミーツの編集でおもしろくしちゃおうという感じ。紙メディアを編集しているというより、「まち」を編集し、紙メディアにアウトプットしている、ということかな。
情報誌をこえる雑誌としてのおもしろさを備え、雑誌としてのおもしろさを備えながら、充実した情報をマニュアルやスペックとして実用になるよう巧みに整理して伝えるのは、なかなか難しい。そのへんの実力のほどが、この『東京あたらしい下町』では強く感じた。
うーむ、この編集力は、紙メディアにしか通用しないようなものではなく、紙メディアをこえて、情報をめしのように食べて生きなくてはならないコンニチの時代を、しっかりつかんでいるようだ。しばらくこの一冊を、カメラやコンピュータを分解して組み立てるように、いじってみると、何かを得られそうだと思うのだった。
それはともかく、おそらく偶然だろうが、前から気になっている2つの料理が載っている。それは、本誌の45ページに載っている水口食堂の「いり豚」と、ちょうど次の46ページにある駒形軒の「ポテトフライ」なのだ。
これは、今回『みんなの大衆めし』を作りながらも、すごく気になっていた。ポテトフライは、瀬尾幸子さんが子どものころ、近所の店でフツウに売られていた惣菜だってことで、小学館のサイトで連載の「わははめし」にも載っているし、『みんなの大衆めし』にも収録される。店によっては「いもフライ」と呼んでいたところもあったが、いまはどうだろうか。
「いり豚」がある大衆食堂は少なくなった。ほぼ共通しているのは、タマネギと豚肉(バラ肉のことが多いと思う)を炒めたもの、ということになる。だけど、かなり、さまざまだった。かつては、豚の脂身がちょろっと入っているだけで、圧倒的にタマネギだらけというのも少なくなかったし、調理と味付けは、店ごとに違うのがフツウだった。
『みんなの大衆めし』には「大衆めし探訪」というページがあって、瀬尾さんとおれが商店街の惣菜店や大衆食堂を訪問する。その都内の大衆食堂にも「いり豚」がある(この店の表記では「いりぶた」)。店内のショーケースにはサンプルもあって、それが写っている写真が掲載される。残念ながら、誌面の都合で、「いり豚」の説明は、書けなかった。
「いり豚」も「ポテトフライ」も、なにかしら共通の地理的背景や文化的背景があるのではないか、というのがおれのカンなのだ。そして、それがわかると、何かおもしろいことが見えてくるような気がしている。
ま、きょうは、これぐらいにしておこう。
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