無邪気に楽しむ。忘却、追憶、流浪、「驚愕のカーニヴァル」水族館劇場。
水族館劇場、夕暮れ時、まいどのように、外舞台から始まった。これも、見納めになるのか、駒込大観音境内のテント小屋。
無邪気に楽しめる、無邪気に楽しめばよい、「驚愕のカーニヴァル」。戦中の上海、戦後の日本、さまよう人びと。ギター、アコーディオン、ヴァイオリン、トロンボーンの生演奏が、切なくよかった。ま、その音楽も含め、たいがい寸足らずの未完成の始まりであり、それはそれで楽しめるのが、この見世物小屋的カーニバルの魅力なのだ。
脚本は、この初日の朝8時ごろ出来上がったばかりだそうだ。開演どんぎわまで、台本片手にセリフを覚えようとしている役者の姿が見えた。てんこもり錯綜気味の物語は、これから日々手が加わり充実していくだろう。その「成長」の様子を、また観に行くのが楽しみだ。
16時半、西日暮里駅で、瀬尾さん、てらやんと合流。駅前のさくら水産しか開いてないので、そこへ。1時間ほど呑んで、高架下の「喜多八」へ。なにせ暑くてビール日和。もつ焼きなどを食べ、ほろ酔い気分で、歩いて駒込大観音へ。
途中、古書ほうろうに寄る。宮地さん夫妻は休みで直接大観音へ行くとかで、6月に日暮里夕焼けだんだん上に「古書 信夫翁(あほうどり)」を出店するお二人がいた。
境内入口の受付は、物語の時代背景である、いわゆる「昭和レトロ」な装飾で、フンイキだねえ。谷中のギャラリー「やぶさいそうすけ」のチエさんと合流。初対面。
プロデューサーの中原蒼二さんが、やや疲れた感じで立っていた。その疲れぐあいを、からかいながら激励。森田夫妻、谷川夫妻、宮地夫妻など、初日を飾るにふさわしい人たち。演題は、「恋する虜」。脚本・演出の桃山邑さんの挨拶、外舞台の中に観客がいるかたちで、芝居が始まり動いた。
水槽を置いた外舞台は、空間を高いところまで広くフルに活用して、ダイナミックというか、いやはや、ときどき役者のセリフが聞こえなくて話が把握できなくなるのも気にならない、まさに驚愕連続のシーンが展開。
まいど、物語はけっこうリクツっぽいのではあるのだけど、リクツっぽさを感じさせない、楽しい演出。
筋書きは、ややカオス的でみえにくいところがあったけど、もともとこの浮世は、不条理不合理の積み重ねで筋書きなんぞはないのだ。生演奏がシーンとシーンを包み込むようにつなぎ、退屈する間もなくテンポよく話がすすんだ。
最後は、例によって、大量の水が滝となって落ち、あるいは噴出し、舞台が崩れていく中で、落ちがないというか、トツゼン、投げ出されるように終わった感じだった。脚本が未完なのかな?と思ったが、この投げ出されるように終わる感覚が、また悪くない。
6月7日まで。もう一度、観にいく。
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