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2011/04/14

法的根拠のない「自粛」を行政や行政の長が「要請」するおかしさ。

スーパーのイオンが千葉県出荷自粛要請「サンチュ」を販売したことが、きょうのニュースになっている。

とくに東京では知事選ということもあり、同じような「自粛」騒動があった。花見については「自粛」が守られなかったとしても、問題にならず、むしろ歓迎される声も少なくなかった。なので「自粛」の法的根拠は、問題にならずに終わってしまった。

そもそも、「自粛」というのは、行政から「要請」されてやるものなのかという声もあるのだが。なにをするにも法的根拠が必要であるがゆえに、どんなに目の前で人が死ぬような不幸があっても法的根拠のあるなしを厳しく遵守する、行政や行政の長が、法的根拠のない「自粛」を「要請」するなんて変態もいいところで、その矛盾が、花見のときにはあらわれなかったが、この件については、隠しようもなくあらわれた。

ってことについて書きたいのだが、チョイとまだ忙しいので、とりあえず関連の資料だけ掲載しておく。

この件について、おれがチェックした範囲では、法的根拠にまでふれているのは、FNNだけのようだ。FNNらしいともいえるが・・・。

とにかく、どうやらこの「自粛」は、法的根拠はなくても、「(産地)ブランド」を守るためというのが錦の御旗になっている。言い方を変えれば、ブランドを守るためなら、法的根拠のないことでもする、ということになる。これはチョイとコワイことではないか。

そして、仕入れ担当者に全ての責任が負わされて終わるのだろう。
いつも、役人は責任をとらない。あるときは法をつかい、あるときは法にない錦の御旗をたて、あるときは政治家をつかい・・・自分は、その後ろに隠れる。


東日本大震災:イオン、千葉県出荷自粛要請「サンチュ」を57店で誤販売
http://mainichi.jp/life/food/news/20110414ddm041040167000c.html
毎日新聞 2011年4月14日 東京朝刊

旭市産のサンチュからは3月22日の検査で1キログラムあたり2800ベクレルの放射性ヨウ素が検出され、千葉県が同市に29日、出荷自粛を要請した。ところがイオンによると、同市が28日に行った検査では規制値を下回ったため、旭市の野菜卸業者が出荷再開をイオンの買い付け担当者に相談。同担当者が独断で入荷・販売を決めたという。

農林水産省は「出荷自粛に強制力はないが地域全体で自粛することがブランドを守ることにつながるので今回の事態は残念」と指摘。全国の食品流通関係団体に対し13日、出荷停止・自粛対象の農産品を仕入れないよう周知徹底を要請した。


出荷自粛「サンチュ」店頭販売問題 「出荷制限」と「出荷自粛」めぐり混乱も
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00197372.html
FNN(04/14 00:36)

なぜ、「出荷自粛中」の野菜が市場に出回ったのか。
イオンでは、自粛対象の野菜などは販売しない社内のルールを設けていたが、バイヤーの判断で仕入れを行ったという。
問題のサンチュを生産した業者は、「出荷自粛後の検査で暫定規制値を下回ったことで、出荷した」と話しており、イオンによれば、売り場から撤去したサンチュを検査した結果、検出された放射線量は、国の暫定基準値を下回ったことを確認したという。
出荷の自粛をしていた野菜が出回る事態に対し、政府や千葉県の考えは煮え切らない。
千葉県農林水産部は13日午後5時ごろ、会見で「客観的なデータをお持ちのうえの対応ということもありますので、相手の業者の方のご理解もいただいた中で進められたことだということですから、まったく理解できないということではないのかなというふうには思っています」と述べた。
枝野官房長官は「県に対して、適正な管理をするよう要請をしたところでございますが、出回っていたもの(サンチュ)については、出荷規制の対象のものではありませんし」と述べた。

サンチュの店頭販売問題について、混乱を招いた要因の1つに、行政の対応がある。
農産物からの放射性物質検出を受け、当初打ち出された「出荷自粛」は、自治体が農協などに自粛を要請するもので、明確な法的根拠はない。

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コメント

ご無沙汰しています。

法的出荷規制と補償の関係は詳しく知らないのですが、とにかく、補償金額を出したくないから「自粛」を要請したとはいわないでしょうね。

でも、それほど「ブランド」が大事なら、消費者の立場に立って考え、出荷停止にすべきだし、食品メーカーではよくそのようにしていますよね。

この「ブランド」のことも含め、「育成」だの「助成」だの「補助」だの「補償」だのと、いろいろなカネが動く複雑な構造の日本の農政は、消費者にはわけわからん状態です。

こういうことで、ほんの一角が露呈するのだけど、すぐまた闇の中。

投稿: エンテツ | 2011/04/15 16:09

なるほどそうでしたか。ブランドというものが存在するならそれは自主規制となって表れるでしょう。しかし、何処までそれが通用するかですね。

法的出荷規制との相違は、公的な補償があるかどうかでしょうか。米作の割り当てにしてもとても複雑な農政がそこにあることが良く分かります。

投稿: pfaelzerwein | 2011/04/15 04:04

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