「男子パン」と味噌汁。
おれが、「「男子パン」食べてえ~。男子パンとビールが欲しい~。」と言った。すると、遠くにいるツボノ女が、「「男子パン」って??」と言った。
おれは、「ミーツ・リージョナル6月号の特集が「男子パン」。「固くなくて、甘くなくて、デカくて、いつでもバカ旨なアイツ」ってもので、焼きそばパンなど、よく「おかずパン」といわれるやつ。男めしにもなる男子パン。部活のあとに食べたなあ~、とか。もちろん女だって食べますよね」と言い、それでも足りないような気がしたので、「ミーツ・リージョナル6月号の特集「男子パン」は、すっごく面白い力作! 表紙写真の焼きそばパン、食べたいよ~。街角のパン屋の、頼もしいおかずパンの数々。ビールまで欲しくなる」と言った。
すると、やはり遠くにいて、その話を小耳にはさんがアキ女が、「まち歩きをしているとパン屋さんってその街の表象だったりするなって..価格諸々」と言った。
おれは、なるほど、確かに!と思った。おれは、かつて、パン屋やベーカリーレストランの仕事をしたことがある。パン屋やベーカリーレストランを経営する会社の、常勤ではないが、企画担当の役員だったのだ。そのときのことを思い出した。
自分の店で作るパン屋のパンというのは、イチオウ製品ではあるけれど、食堂の料理に近いものなのだ。惣菜屋を考えてもらえば、わかりやすいか。おかずパンを売っているところでは、パンはパン屋から仕入れ、なかにサンドするおかずは自分の店で作るというところもある。あるいは、パンもサンドするものも仕入れだが、そのアソートに独自の個性があるというもの。いずれにせよ、その場所その店にしかない味覚が生まれやすいし、生まれる。
話は変わるが、2012/04/25「内田百閒の「上京」と味噌汁」に関連して、木村衣有子さんに、こういう話を聞いた。
「味噌汁話。エンテツさんはすでにお読みやもしれませんが『太陽』1982年3月号で、京大教授の今西錦司が京都の味噌汁をこう語っています<食べない。いまでもぼくは、たまには味噌汁を注文してつくらしますけど、あんまり必要品と思いませんな。あれもやっぱり味噌で栄養をとるという、貧乏人の食い物の一つやないか。そう言うたら悪いけど。アッハッハッハ。>なにくそ。東の貧乏人、上等だ。以上、高橋義孝と石毛直道との鼎談より。」
いやはや、日本の食事様式に不可欠なものとして、ご安泰に見える味噌汁だけど、なかなか。食文化研究の先駆者あるいはリーダー的な存在で、著作も、おれなんかと違って売れまくって「権威」ともいえる人たちにして、こういうことなのである。近代日本食のスタンダードとは何かは、だからおもしろい。
きょう、チョットだけ知っている若い夫妻がやっている食堂、とてもよくて、また行きたいと思っていた食堂が、トツジョ閉店したのを知って、少々ショックを受けている。先日、当ブログで「最終戦」を書いたばかりだったが。見たところ賑わっているようでも、客単価は落ちているし、テナントで家賃を払って営業している飲食店は、ジワジワ厳しい状態になっている。個人店の閉店は、まちの財産としてもマイナスであり、なんとも悩ましい。それはそうと、まだ若いのだから、この経験からよく学んで、再起してほしい。インターネットあたりで自分では何のリスクも負わず、他人の批評や悪口ばかりで小利口ぶっている同世代より、はるかによい経験をしたのだから。力は十分あるし、再起は可能だと思う。
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