NHKラジオ第一「VIVA!大衆食堂」初回。
NHKラジオ第一で、4月から朝の番組でスタートした「すっぴん」。なんとも生真面目な面白みのない番組名の、9時15分ごろから15分間ぐらいの、「VIVA!大衆食堂」というコーナー。これまたいささか優等生が無理しているような、こそばゆい番組名の、奇数週の水曜日にレギュラー出演となったのでありますが、4月は、そのコーナーが無かったり、あっても、天下国家大事の国会中継でとんだりで、今日が初回だった。
9時15分前にスタジオ入り、ちょうどラッシュにぶつかる。なので、前夜は渋谷のカプセルにでも宿泊しようかと思ったけど、出演料を考えたら、そんな余裕はない。朝少し早めに出て、宇都宮線で上野へ、地下鉄銀座線で渋谷に行くコースなら、押されまくり足が浮いてしまうほどのラッシュで疲れることにならないのではないか。そう考え、1時間ほど早めに出て、上野で1時間ほど、立ち食いそばを食べたりで時間をつぶした。朝の上野も楽しい。酒を飲みたくなるが、そうはいかない。今日は連休の中間ということがあったかも知れないが、上野から座れた。
ってえことで、無事にNHKの放送センターに9時15分前ギリギリに着いたら、担当ディレクターさんが玄関で迎えてくださっていた。次回からは迎えに出ないそうで、自分でスタジオまで行かなくてはならない。前回訪ねたときに、だいたいの通り順は頭に入っていたが、案内図を見ながら案内される。
ってえことはどうでもよくて。とにかく初回はキンチョーした。ラジオは何回か出ているので、あわてることはないし、話の運びはちゃんと冷静に判断できているのだが。それだけに、やはり、民放とは違い「みんなのNHK」の場合、いろいろ気を使わなくてはならないことがあるのだ。そのことにキンチョーするのだな。
初回ということで、「大衆食堂ってどんなとこ?」ってのがわかるようにってこともあって、話は総花的になりがちだったが、ま、なんとか終わり、だいたい様子もつかめたので、次回からは、もっとうまくやれるだろう。
まずはNHKのある渋谷に近い、おれの考える「昭和30年代にして1960年代」的である、大衆食堂らしい大衆食堂で、おれの大衆食堂物語でも特別の位置を占める、恵比寿の『こづち』を話題にした。これも、宣伝にならないように話さなくてはならない。
このあいだ一緒に仕事をしたばかりの50歳ぐらいのカメラマンが、恵比寿の人で、彼と『こづち』の話になったとき、「ああ、あそこはスタジオ時代によく行きました」と言った話を紹介したりした。撮影スタジオでアシスタントをしながらの下積み時代のことだ。放送が終わってスタジオから出たら、30代と思われる局の男性が近寄ってきて、興奮した口調で、「わたしも、アシスタント時代、よく行きました」と言い、よく食べたおかずの話などをしてくれた。なんだか、大衆食堂ならではの話で、うれしかった。そういう記憶や思い出が、たくさん埋もれているにちがいない。
それはそうと、スタッフの方と話をしながら思ったことだが。ここのところ、おれは、おれとはあまり縁がない世界だと思っていた、dancyuやNHKから声がかかり、仕事をやっている。それについては、共通する背景というかモンダイというかテーマがあるな、という感触を持っている。その場面に、おれが適役かどうかは、たぶん誰も正確に判断できない。可能性を展望しての、「試用」あるいは「挑戦」といったところだろう。とにかく現実を見据えて新たな動きを生み出そう、そういう感じである。とりあえず声がかかっているのだから、一緒にやれることはやるが、やれないことはやれない、ってことで、これからどうなるかわからない。いろいろなところで、そういう動きになっているし、それはドンドン広がる予感がある。
全国生放送であるから、次回の16日の水曜日は、ドンと飛んで北九州の食堂の話をすることになった。ダイヤモンド・ユカイさんと藤井アナウンサー、今日始めてあったが、なかなか面白い。だけど、その面白さを放送で出し切れない感じが、NHKらしいというか、NHKのリスナーの課題であるかも知れない。
放送の冒頭、おれが紹介されて挨拶をするときに「エンテツです」と言った。するとユカイさんと藤井さんが、「ああ、略しちゃいけないんだ」と言うのであった。いきなり出鼻を挫かれた感じで、おれは何のことかと、いぶかしく思ったのだが。帰って家人に聞くと、そのコーナーの前に、リスナーの方からの投書か何かで、略した言葉は若者に媚を売るようでケシカラン、という感じものが読み上げられたとか。
「みんなのNHK」は、悩ましい。みんな、は、どこへ向かっているのだろう。どこへ向かいたいのだろう。おれは、あまり、「みんな」には興味がないのだが、気になる。こういう時代は、ひとのことはよいから、自分がどうしたいか、どうするかが問われていると思う。気取らず力強くめしを食い、愚直にやるのみ。なんにせよ、よい経験で、大いに鍛えられる。
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