『dancyu』8月号カレー特集に書きました。
ちょうどミーツの取材で大阪へ行っていた6日に発売になり、掲載誌が届いていたのだが、大阪コーフンしているあいだに、ここに紹介するのを失念してしまった。遅まきながら。
今回はカレー特集でして、おれは52ページに、神田多町の[栄屋ミルクホール]を書いている。「日本人なら食べておきたいカレーライスの噂」ってことで、編集さんがつけた見出しは「黄色いライスカレーがもはや絶滅寸前である」。
が、しかし、今回のおれは、たしか以前に書いたと思うが、石川啄木風?をねらって書いた。って、なんのことはない、上野駅にある啄木の歌の気持をですね、故郷の言葉を懐かしがるような気持をですね、黄色いカレーライスにこめたわけであります。それが、栄屋ミルホールさんに対する称賛としてもよいのではないかと。ほんとうか?
とにかく、そんなわけで、編集さんにも言われたけど、dancyuにこれまで書いたおれの文章とも、編集さんの付けた見出しとも、違和感があるかも知れない。なにしろ、見出しは、こうなのに、おれの囲みコラムは、「街の一隅で、簡単にはなくならない暮らしと味が息づいている」で終わるのだ。
ま、そのギャップやズレが味になるとよいのだが。とかくギャップやズレのない予定調和や首尾一貫が受け入れられやすいのだけど、それって考えようによってはチト単純単調すぎて、ステレオタイプになりやすいし、ダメなスノッブに陥りやすいし、人生おもしろくないではないか。もっとギャップやズレを楽しむ余裕を持ちたい。なーんて思ったりするわけだが。
そして、dancyuのようなグルメ雑誌では、「イキ」な「漫画のような誇張」それは歌舞伎の荒事にも関係するらしいのだが、ま、誇張はあるけどウソはない、といった誇張が読者に喜ばれるのは、わかってはいるのだが、今回は素材が素材でもあるし、本文は控えめにさせてもらった。
とにかく、おれはグルメライターではないがフリーライターだし、いわゆる「作家」志向はまったくないので、むしろフリーライターを楽しむためにも、チャンスがあればいろいろな書き方をしたいと、近頃とくに思っている。近頃は、なんだか文章だの文体だのということに初めて興味を持って、あれこれオベンキョウもしているのだ。こんどのミーツでは、初めて店データの原稿を書くこともやらせてもらっている。みなそれなりに、大事な点や役回りがあるのであり、純文学や小説や作家が上だのエライだのどうだのは、「憧れ」がもたらした幻想にすぎない。ともいえないのだが、どうも近頃の「作家」志向は、うすっぺらというか、テーマの掘り下げはテキトウな予定調和、ネタに寄りかかり、文章の技巧だけで、たいしたことないのにカッコつけすぎ。
なんだかdancyuの紹介とは離れてしまったが、この文章を書くにあたっては、けっこうベンキョウになったし、こんなおれと付き合ってくれる編集さんに感謝している。今年になって3回目の登場なのだ。ほんと、いろいろ教わることが多い。
そうそう、それでカレー特集ではあるが、どういうわけか、第2特集という位置づけなのか、チョイと判断つきかねるが、「ポテサラ名人列伝2012夏」なるものがある。うーん、どういう事情なのか。
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