『明治屋』の再開発「前」と「後」。
今日は、何かと忙しい。写真で簡単に阿倍野の『明治屋』の再開発前と後を紹介しよう。
『明治屋』は、居酒屋ファンのあいだでは「聖地」ともいわれる「巡礼所」のような居酒屋だ。JR・天王寺駅と、その前にある近鉄百貨店の西側を南北に走る道路の西側、阿倍野筋一丁目のアーケード商店街の路面店だった。そして、このあたりが、そっくり再開発され、『あべのキューズモール』に生まれ変わった。
キューズモールの北の端に『ヴィア・あべの・ウォーク』という一角がある。そこに、従来の商店街にあった大衆酒場や立ち飲み屋と共に、明治屋はおさまっている。今回は入る機会がなかったが、店内は以前に近い状態で造られているらしい。外観もなるべくそのまま移したらしいが、見方によっては、大ハコの劇場の大道具といった感じの景色でもある。
その昔の姿を知っているものにとっては、やはり「味がないねえ」ということになるかも知れないが、この環境のなかで、以前の姿を知らない客も増えることだろう。またそうでなくては「再開発」の意味もないのだし。彼らにとっては、あるいは新鮮かも知れない。
ナニワトモアレ、この再開発は、従来の「天王寺」や「阿倍野」といった街の枠組みを変えるほど大規模なものであり、来春オープン近鉄百貨店が入る高層ビル『ハルカス』をランドマークタワーに、「天王寺ターミナル」は大変貌をとげる。しかし、このターミナル界隈は、キタの大阪・梅田やミナミの難波と比べ、いい意味でだが、イマイチ垢抜けがしない。その何故かは、今回少しわかった感じがした。たとえれば、池袋が「埼玉県池袋」といわれたりするように、このあたりは和歌山や奈良と因縁が深いのだ。
いまのところ再開発の対象外だった、あべのキューズモールと道路をはさんで反対側の阿倍野筋二丁目のアーケード商店街は従来のままだ。小規模再開発のようなリニューアルのようなことが一部で進んでいるが、名曲喫茶『田園』など昭和を積んだまま残っている店も少なくない。
大きな変身と少しずつの変化が、倍の広さになった道路をはさんで向かい合っている。下の写真は、2008年8月。周囲では退去取り壊しがすすんでいる、その場所にありし日の明治屋。
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