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2012/12/17

御田町スタイル@吉祥寺、24日まで。

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下諏訪町すみれ洋裁店のミドリさんから、吉祥寺で開催される「御田町スタイル」の案内があって、初日の14日に会場にいるとのことなので、行って来た。

「御田町スタイル」の「御田町」は「みたまち」と読む。下諏訪駅から諏訪大社下社秋宮へ向かう途中にある信号を左に曲がった御田町通りを中心とする小さな商店街。「すみれ洋裁店」をおれが初めて訪れたのは、2006年6月3日、四月と十月古墳部の旅でだった。

それより以前に、この地域にある温泉銭湯「菅野温泉」がよくて、山やスキーの帰りに何度か立ち寄っていたが、商店街を歩いたのは、その時が初めてだった。実際のところ、小さな商店街は寂れていて、こんなところで「すみれ洋裁店」は、どうやって生きているのだろうかと思った。

ところが、ところが、それから何年か後に行った時は……いただいた案内から引用。

  あちこちにあった空き店舗に
  工房やお店ができました。
  町の新しい一面です。

  そこは、仕事場であり
  手仕事から生まれるものと
  買う人の暮らしをつなぐ場所。
  ジャンルはさまざまですが
  生活の中で大切にしたいものが
  毎日、ていねいに作られています。

諏訪大社はあるし、いい温泉はあるし、昔から中仙道の宿場町として栄えた。なにしろこの町中には古墳まである。「古くから宿場や産業とともにあり人が行き交う町の中に、ものづくりをする人々の、古い店舗を思い思いに改装した工房がいくつかあります」という状態が生まれたのだ。「そういえばここは、どの時代も/ものづくりとともにある町でした。」小さい御田町に小さい酒蔵「菱友醸造」もある。

その御田町スタイルの手仕事に東京でふれられる1年に1回の機会。

半分以上ミドリさんと会うのが目的で行ったのだけど、すみれ洋裁店の展示は、会場の片隅にレースのようなカーテンで囲われた試着コーナーのようなものを作り、そこになんとはない風情つまり「展示ですよ」といった主張のない、いろいろ小さな手づくりが自然にあるという感じのものだった。最初は、その試着コーナーのようなものが、なんだかよくわからず、「これなんですか?」と聞いてしまったほど。

ミドリさんの話しも作品も、じつに楽しい。「うちの店には何故か色々なもの(ボタンとか、よそでいらなくなったもの)が集まるのですよ」と笑っていたのが印象的。そういうものを利用した作品もあった。彼女のまわりにはモノだけじゃなく人も集まるのだな。その存在自体が、「美術」のようだ。

ミドリさんは08年からだったかな?毎日一枚の毎日違うハンカチを作ることをやっていて、今でも続いている。おれは、いつだったか取材の途中、すみれ洋裁店を再訪したとき、その年は、毎日1個違うデザインの袋物を作ることをやっていて、手ごろなものがあったので買い求めた。いまでも重宝しているのだが、今回はハンカチを買ってきた。袋物と同じように、制作年月日の刺繍入り。

帰り、会場で電動工具を持ってウロウロしていた男が、エレベーターで一緒になった。おれは御田町の方かと思ったのだが、「すごいクオリティが高いので驚きました」と心底おどろいた顔をする。聞くと、会場のレンタルスペース「Neuro Cafe(ニューロカフェ)」の方だった。

確かに、ものづくりは、色々あるけど、クオリティというか作家性が高い方だろう。つまりシッカリ作られたもの。もちろん、値段もそれなりだ。だけど敷居は低く、楽しい遊びごころはあるし。そこがまあ、「暮らす はたらく ふらりと来る 人が集まる小さな町」の御田町スタイル、ってことでもあるのだろう。

夕方、新宿で打ち合わせがあったので早々に引き上げた。短い時間だったが、よい時間だった。
そうそう、信濃ゴールドをお土産にいただいた。
ミドリさんは、この翌日、高円寺の円盤で「ごっこ社鏡餅写生会」という絵馬を作るワークショップをやるのだそうで、大いに活躍、けっこうなことだ。

すみれ洋裁店では、訪ねると「その日のあなたの印象をBAGにします。材料はいろいろその日にあるもの。」という「おまかせBAG」をやっている。これも美術の一つ。けっして生活から離れない、生活の中にある美術なのだな。このBAGの招待状をいただきながら、今年は行けなかったから、来年は是非行きたい。

御田町スタイルのサイト
http://mitamachi.com/

すみれ洋裁店の「続続・すみれ日記」
http://sumire-yousaiten.blogspot.jp/

当ブログ関連
2006/06/06
肉食文化と米食文化と古墳部の旅
2009/08/07
「日本で最も美しい村」連合、長野県大鹿村。下諏訪すみれ洋裁店経由。

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