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2013/05/11

腹が減る肉体労働で食費の苦労。

このあいだ、酒場で同じテーブルになった人は、そこでよく顔を合わせる、いわば二人ともその酒場の馴染なのだが、彼がペヤングの大盛りの話しを始めたことから、いろいろはずんだ。

彼は、建設関係、ゼネコンの下請けの会社で働く。管理職ではあるが、現場の管理職なので、ようするにガテン系といったほうが、わかりやすいか。朝は、同じ現場で働く何人かで、ワゴン車に乗って仕事に向かう。

途中で、コンビニに寄って、朝めしを買う。ペヤングの大盛りを買うと、これ一個で、腹は一杯になるから安上がりだ。だけど、割と早く腹が空いてしまうので、ニギリメシを一個買って、一緒に腹に詰め込んでおく。これに飲み物を買うと500円ぐらいになってしまう。しかも、ペヤング大盛りは、最初はうまいと思って食べていても、最後のほうになると、もういいという感じになる。

いつもこれというわけにもいかないから、カップラーメンとニギリメシの組み合わせもある、その場合は、ニギリメシが二つはないと、食べた気はしないしもたない。本当は三つぐらいは食べたい。でも、野菜を食べなくてはとサラダを買ったり、あれこれ、うっかり買うと、すぐ1000円になってしまう。コンビニは高い。カネと腹をいい塩梅におさめるのは難しい。

昼は、なるべく食堂を使うにしても、腹が空いているから、1000円を超過しやすい。それで仕事のあと飲むと一日で5000円が消えることになる。それじゃ稼ぎにならない。

昼もコンビニで買うことが多いのは、汚れのついた作業着のまま入れる食堂が少なくなっていることもあるようだ。安いファストフード店でも、入りにくいらしい。その立場になってみないと、わからないことだなあと思った。

わからないといえば、ワゴン車で乗り付けて、何人かがペヤング大盛りを買うと、すぐコンビニのポットのお湯が足りなくなるそうだ。

それはともかく、居酒屋あたりでも、「階層分化」がすすんで、肉体労働者が作業着のまま気楽に飲めるところは少なくなっているようだ。飲酒運転の規制が厳しくなってからは、クルマの移動が多い作業員は、自宅か、いったん帰宅して自宅の近くで飲むようになったという影響もあるかも知れない。

しかし、「階層分化」で、「中間層」と「低層労働」との間の断絶も、広がっているように思う。いろいろ文化的なイベントが盛んだが、そこで中心的役割を果たす「中間層」には、作業員姿の参加は最初から眼中にないようにも見える。「地域おこし」や「まちづくり」を謳うイベントでも、そういう印象を受けることがある。

そういう意味では、「B級」「ご当地」グルメ系は、無難のようだ。

いや、そういうと、いやそんなことはありません、どなたでも参加して欲しいです、排除なんてありません。と、たいがいの主催者は、いうだろう。だけど、そういうことではない。誰でも相手にしているような安いファストフード店でも、作業着姿だと入りにくいと思うひとが少なからずいる状態になっている、そのことなのだ。

東大宮の場合は、飲食店の「階層分化」は、あまりすすんでないように思う。女性相手のカフェ風は別にして、それと何軒か、チョイとスノッブな店はあるが。

彼も仕事帰りに作業着のまま飲んでいるが、たいがいの居酒屋が、作業着姿と、スーツあんどネクタイと、大学があるから学生、これが混浴状態だ。サイゼリアあたりでも、そう。

あまりスノッブな店はないし、教養や文化や芸術の香りが漂い、そういう人たちが落ち着いて飲食するところですという感じを演出している店もない。ブックカフェやブック居酒屋など、とんでもない。そういうセグメントすら、成り立たない。

こういう混浴状態の場が普通であるべきじゃないかと思うのだが、あれこれの動向を見ていると、ますます難しい感じになっている。断絶は、まだまだ広がるのだろうか。ほんらいの共食は、どんどん遠くなる一方で、趣味や嗜好の合う仲間やグループだけの「共食」で「つながり」を確認し合うような拡大は、なんだかキケンなニオイがする。

と、話しは、思うわぬほうへ転がった。

本日は、「東大宮往来者」のブログも更新しました。…クリック地獄

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