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2013/05/07

「加速化する衣食住」は、どこへ行くのか。

黄金週間の前半の4月28日、来日中のケン・イトウさんと会った。当ブログを検索したら、前回会ったのは、去年の4月26日だから、ちょうど一年ぶりだ。

2012/04/26
来日中のケン・イトウさんと会った。

彼が気に入っているという大戸屋で飲み食いしながら、激動する世界と日本の位置とうまいめしの関係について、語りあった。で、ようするに、おれたち70歳だよねえと、激動する70歳はどううまいめしを食うかという話しにもなった。

彼は、去年と同じように、アメリカは食べ物がまずい、日本は何を食べてもうまい、うますぎる、と何度も言う。これが普通だと思って、とくに感謝もないのだから、「日本人は、やっぱり平和ボケだなあ」と言う。

彼は、1960年代の後半に渡米し、そのまま住んで、永住権は持っているが、市民権は申請したことがなかった。だけど市民権をとることにしたと言った。日本は二重国籍を認めないから、アメリカの市民権をとると日本国籍は失われる。こんど来るときは、日本人じゃなくなっていると、笑った。食べ物がまずい国の国民になるのだ。

福祉も日本のほうが充実している、アメリカは本当の金持ちじゃないと、老人施設など入れないと言った。自分は、のたれ死にだよ、と言う。それでも、アメリカ人で死ぬのだ。

また食べ物の話になるが、彼は、アメリカの食べ物は何十年たっても、まったく進歩がない、だけど、日本はすごいね一年で進歩している、去年より新しいメニューが増えうまくなっている。

その中にいると気づかないが、言われると、確かにそうだ。余裕も大らかさも失われて。

おれは、うーん、それって、いいことかなあ、競争が激しくて、しなくてもよい「進歩」をしている感じもあるからね、と言う。そんなに競争が激しいの、というから、そりゃもう外食産業は大変ですよと、アレコレ話す。

彼が渡米した1960年代ぐらいから、「世相の加速化」が始まった。衣も食も住も、大量生産のもとで、どんどん加速化して、それがいまでも続いている。いまでは「作る」だけじゃなく、「評論する」も増えて、「大」も「小」も同じように競走し、どんどん加速している。こんなに急いで、どこへ行く、という感じだ。

かつての「小」や「マイナー」は、「大」や「メジャー」のスピードに抵抗するかのように、別のマイペースの動きだったのに、いまや一緒に「加速」している。それが普通になったようだ。そこにも、しなくてもよいと思われる「進歩」が急がれている感じだ。ま、大衆食堂などは、あいかわらずマイペースが多いけど。

ケン・イトウさんは、去年もお土産にくれた彼のOK牧場のTシャツ、その新しいデザインを、またお土産にくれた。1年に1つの新しいデザインのペース。

彼は加速化からは遠い牧場で、韓国製の電気釜と最近入手した土鍋で、うまいめしを炊いて食うのが楽しみだ。それと自分で獲る鹿の肉と、バーベキュー。そうそう、バーベキューだけはアメリカだと言った。

のたれ死にするには、加速化から遠い地域が広いアメリカがよさそうに思えた。

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