お盆帰りのち再校ゲラ。
世間がお盆休みのあいだは本の初校をやっていて、もどしは18日必着だったから、18日午前中に着くよう16日の深夜にコンビニから宅急便で発送した。
再校が出る前に、秩父の年寄りの様子を見に行ってこようと思い、20日に出かけた。その前に、「四月と十月」に連載の「理解フノー」の締め切りが20日だったので、仕上げて送った。
20日出がけに、スソアキコさんから宅急便メールが届いた。開封したら、以前にスソさんと瀬尾さんと協力出演した、NHKの海外向け番組「BEGIN Japanology」の古墳のDVDだった。4月18日に放送になったらしいが、すっかり忘れていた。それと、内澤旬子さんが「考える人」に連載中の「馬」の2回分のコピーが入っていた。「馬」は、スソさんオススメで、初回のコピーもいただいて読んだ。スソさん、身体のぐあいがよくないはずなのに、すみません。それを、そのままバッグに突っ込んで、家を出た。
「馬」は行きの電車のなかで読んで、DVDは向こうに着いてから見た。古墳の番組は、さすがNHKというか、しっかりつくられていた。ピーターバカランが案内する、ちゃんとした日本の古墳の紹介で、後半で、おれたちだけが何故か国民代表みたいに唐突に登場し、勝手なことを言っているのが、オモシロイ。内澤さんの「馬」は、頼まれたままどうやって書こうかと考えていた原稿の、よいヒントになった。
秩父の家は、行くたびに、家の近くが「畑化」している。おやじは80過ぎだし、トシをとって身体のぐあいも万全じゃないから、肥料や水を担いで険しい斜面を登って畑へ行くのが辛くなっているのだろう。家の近くの少しでも平らな場所に、いろいろな野菜が植えてあるのだ。
縁側先の庭の花壇だったところは、大豆ときゅうりが植えてあった。ひょうたんの棚だったところには、かぼちゃのつるが這い、実って落ちそうなかぼちゃを発泡スチーロルの箱で支えていた。山側の以前は何かの木があったところは刈られ、こんにゃくが生っていた。
金銭のこともあるが、買い物には、クルマで片道30分はかかる。もとから野菜は自給体制が基本だったから、習慣もあるのだろう。本人たちは、こうした山間の厳しい生活を、さほど気にしていない。一番よいところに住んでいると思っていて、選挙になると、20戸にも満たない「集落の発展のために」大いに張り切る。9月には、町長選挙があると言っていた。いわゆる「政治意識」は高くはない。選挙は、政治ではなく、暮らしなのだ。これが望ましい民主的な生活であり、望ましい民主主義であるという感じがしないでもない。
帰ってきて、きのう23日、再校のゲラが届いた。行く前からメールでやりとりがあったのだが、当初、おれが原稿を書いていたときのタイトルは、出版社の編集長と営業によって蹴られたので、「対案待ち」だったが、それもやっと決着ついた。
なにしろ、おれが書いていたタイトルではヨワイというのだ。ってことで、チョイと大げさハッタリが強すぎやしないかと思われるタイトルになったが、「誇張はあれど嘘はない」という感じなので、ま、カバーまわりはセールスプロモーションツールだからと思い、まかせた。こちらは、数千の初刷りのまま、一度も重版がない身だし、あちらは、基本10000部の本を毎月何冊も作り売ってきている実績からくる自信と勘があるらしいのだ。
そして、発行部数は、これまでになく多い。いいのか、という感じだが、のっかってやりぬくしかない。「商品開発」は、本だろうが、なんだろうが、同じだ。それでよいのだろう。
チマチマせずに、大きく、粗っぽく、ってのは嫌いじゃない。近頃は、読者(お客)をチヤホヤするように、わかりやすくチマチマ丁寧に、細かいかゆいところに手が届くような文章(サービス)が、アタリマエという傾向が多いから、おれのようなヘソマガリは、抵抗もしたくなる。そんなところで、大人になる必要はないね。自立的な大人を相手に商売しよう。なーんて、言っていると、また売れないことになるか。
そういうわけで、コツコツ再校に向かっている。再校が終われば、8月も終わりだ。
当ブログ関連
2013/02/24
NHKの番組のため古墳部活動。
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