東京新聞「大衆食堂ランチ」15回目、鶯谷・信濃路 鶯谷店。
バタバタしているうちに一昨日は第三金曜日で、東京新聞連載「大衆食堂ランチ」15回目が掲載になっていたのだった。今年はこれが最後、来年も続くので、よろしく~。
すでに東京新聞のサイトでご覧いただけるが、いつものようにサイトには外観の写真が載らないので、ここに。とくに、この外観とラブホが並ぶ周辺の景色は、独特だろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2013122002000192.html
忘年会・新年会の時期にあわせ、それができる食堂として、この店を選んだ。店内にも、忘年会・新年会をすすめる貼紙がしてあった。
そして、「和食」のユネスコ文化遺産登録で、カレーライスが「和食」に含まれるような発言があったので、それにからめ、ごはんものでは一番安い350円のカレーライスを選んだ。カレーライスには、味噌汁がついている。まさに、「和食」か?
以前、ミーツ・リージョナル別冊東京篇の『東京ひとりめし』に、「遠藤哲夫の[信濃路]偏愛話」を書いた。その書き出しを、ここに載せておきます。2009年の発行で、このときはカレーライスが300円だったのだな。
百円玉三個で、具がごろっと入ったスパイシーなカレーライスが食べられる。しかも味噌汁つき。千円札一枚あれば、それにビール大びん一本でオツリがくる。
大都会で働き生きるおれの欲望に、気取った装飾やオシャベリはいらない。即物的実質的にこたえてくれる飲食店こそ、明日への希望であり活力だ。信濃路は、まさに、それ。生々しい欲望を満たす、素朴なよろこびがあるところ。
また、信濃路のある場所が独特で、好きだ。京浜東北線と山手線が停まる鶯谷駅ホームからの景観は、ここにしかないだろう。片側は山で徳川家の墓もある墓地、片側は低地でラブホテルが林立する。線路を挟んで、俗と聖、生と死。騒々しく華麗に洗練された、あるいは高く大きくアートな東京は、影をひそめる。
信濃路は、低地のラブホに囲まれた線路沿いにある。ホームから看板が見える信濃路の上には、よく見て欲しい、聖なる神社がのっかっている。少なからず感動する。その猥雑にして混沌な人間くさい光景をながめ、おおっ、おれは今日も俗に生きているんだ、だからこそ、これから酒を飲みめしをくうのだ。この駅のホームに降り立つと、そのように、大都会で見失いがちな自らの生を、生々しく感じる。飲食の助走として、最高だと思う。(以下略)
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