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2014/02/17

3月15日(土)、渋谷の大盛堂書店で速水健朗さんとトーク。

【イベント】「遠藤哲夫(ちくま新書『大衆めし激動の戦後史』著者)×速水健朗(ちくま新書『1995年』著者)「食」の周辺を語る。」3/15(土)16:00~17:00開催。 入場無料です。
http://taiseido.co.jp/event20140315.html

思いがけなく、渋谷の大盛堂書店さんの企画で、速水健朗さんとトークをやることになった。速水さんとおれがトークなんて、意外に思うひともいるだろう。実際のところ、おれも考えてみたこともなかった。

もちろん初顔合わせ。めったにない顔合わせだと思うので、この機会にぜひ!

速水さんは、1973年生まれで、43年生まれのおれの子供ぐらいの年齢。そして最近、『ラーメンと愛国』(講談社現代新書、2011年11月)、『1995年』(ちくま新書、2013年11月)、『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人。』(朝日新書、2013年12月)など話題のヒット作を連打、気鋭の編集者、ライターとして知られる。おれの子供のような年齢だけど、売れないフリーライターのおれとは、実力が違うのだ。

「食」についても、おれとは違うアプローチや切り口。いろいろ価値観や世界観も違うようだ。しかし、食の現実的な課題と向き合う姿勢は、共通している点があるように思う。食をめぐる「分断」については、同じような認識を持っている感じがする。

そういう意味では、最近の「食」の本や食をめぐる話題は、現実的な課題を脇に置いた楽しいだけのオシャベリから、放射能汚染問題もあって少し変わってきているようだ。速水さんやおれが書くものも、そういう動きの一端を担っているのだろう。

2月5日に、『ブラック企業 VS モンスター消費者』(ポプラ新書)が発売になった。著者は今野晴貴さんと坂倉昇平さんだが、3分の1以上を占める最後の第5章が、著者と五十嵐泰正さんの鼎談になっている。「「おもてなし」っていったいなんだ??」から始まって面白い、示唆に富んでいる。「ブラック企業」も「モンスター消費者」も、飲食の分野が大いに関係するし、「おもてなし」にいたっては、『大衆めし 激動の戦後史』でふれた「日本料理」の伝統と大いに関係する。

五十嵐さんは、鼎談で、速水さんの『フード左翼とフード右翼』に言及しながら「エスカル消費」について述べている。五十嵐さんは、当ブログでも紹介している『みんなで決めた「安心」のかたち』(亜紀書房)著者であり、3月11日以後の「分断」の渦中にあった。

これらの本を読んで、速水さんと五十嵐さんの話を考えてみると、食をめぐる「労働」と「消費」それに「思想」ということになるだろう。「労働」は「生産」と「流通」「サービス」、その企業やネットワークと関係する。おれは、「専門」というのがないフリーライターであり、そのあたりを「台所」の問題として、つまり「生活」と「料理」あるいは「生活料理」の視点からくるんでみようとしている、ということになる。

『大衆めし 激動の戦後史』は、7章で、食の豊かさ、食育基本法、家事労働と料理と女と男、魚食の問題、食料自給率の問題、飢餓問題にふれているが、料理からの視点だ。しかし、まあ、その「料理」ってやつが、なかなかメンドウなのだ。で、わざわざ「生活料理」という言葉を使っている。

速水さんとはどんな話しになるかわからないが、速水さんは『フード左翼とフード右翼』をまとめる過程で「フード左翼」になって、「「フード左翼」から「フード右翼」への転向はまず考えられないように思う」と書いている。たぶん「左翼」食は「うまい」からだ。

しかし、おれの場合、90年前後に「フード左翼」になり、2年間ぐらいで、どうやら「転向」というより、「左翼」から「脱出」して、いまにいたっている。「うまさ」についても、食材の「うまさ」に頼るのではなく、「ありふれたものを美味しく食べる」という生活料理の文化に興味がある。

そんなこともあって、はて、どんなトークになるか、楽しみ。

今回このトークを企画された渋谷の大盛堂書店の山本亮さんには、YOMIURI ONLINEの「本屋さんへ行こう」のコーナーで、『大衆めし 激動の戦後史』の評をいただいている。重ね重ね、ありがとうございます。
http://blogs.yomiuri.co.jp/book/2013/12/post-f6a0.html

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