4月19日のまとめ。
「女だから」という言い方は、「女だから」「よい」、「女だから」「ダメ」という両面を持っているが、どちらも同じ根のビョーキだろう。とくに近頃は、「女だから」「よい」と正義のように扱いチヤホヤする傾向もあって、まったくダメだし、権力欲や出世競争欲むき出しの、男顔負けの女は、昔からいる。いわゆる「ジェンダー」問題は根が深い。
昨年夏、試写会で観た、浜野佐知監督、山﨑邦紀脚本の『BODY TROUBLE〜男が女になるビョーキ?』は、ある朝、若い男が目が覚めたら、チ○ポがなくなって、女になっていた。というところから始まるオハナシ。「この社会は一つに見えるけど、男側からみた社会と女側からみた社会では、まるで別物」を描く。
その『BODY TROUBLE』の公開を記念して?はずみをつけるため?4月の土曜・日曜、3週に渡って、「浜野佐知ジェンダー映画祭」というのがあった。これは、一昨年の渋谷における「浜野佐知映画祭」の第二弾。今回の会場は、東京・十条のシネカフェ「SOTO」。
『BODY TROUBLE』は全日上映で、これに、浜野佐知監督、山﨑邦紀脚本の文芸物と、浜野さんプロデュースの山﨑邦紀監督によるピンクやゲイ・ピンクなどを組み合わせるという、めったにないもの。しかも『BODY TROUBLE』以外は、35ミリフィルム版の上映だ。
『BODY TROUBLE』以外のプログラムは、4月4日(土)、『百合子、ダスヴィダーニヤ』。5日(日)、『そして僕らは変わった』(ゲイ・ピンク)。11日(土)、『こほろぎ嬢』。12日(日)、『理由あり未亡人 喪服で誘う』(ピンク)。18日(土)、『百合祭』。19日(日)、『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』、『変態熟女 発情ぬめり』(ピンク)。
おれは、尾崎翠原作の『こほろぎ嬢』は、映画館で観ているので、『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』のフィルム版を観たいと思い、それに山﨑監督のピンクが観られる19日に行った。
そのあと、ツイッターにつぶやいたことや、やりとりなど、備忘の意味で、ここにまとめておく。いま見れば、もっと正確な表現があるが、ま、そのときのナマの感想ということで。
◆エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
浜野佐知監督、山﨑邦紀脚本『第七官界彷徨ー尾崎翠を探して』の1998年フィルムオリジナル版を見てきた。こりゃもう名作ですね、傑作ですよ。こういう映画は、繰り返し再評価されながら広がり、生き続けるような気がする。尾崎翠のように。フィルムオリジナル版を、何度も見られる機会が欲しい。(23:50 - 2015年4月19日)
Shunsei @printempshunsei
@entetsu_yabo @yurikoyoshiko 同感です。自分なりに感じて、読み解いてゆく要素がある映画の典型例だと思います。(10:27 - 2015年4月20日)
◆エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
『第七官界彷徨ー尾崎翠を探して』だが、今回は「尾崎翠を探して」の方が主題なんだろうなと思った。鳥取と、翠をとりまく林芙美子や深尾須磨子など1930年前後の東京の詩壇文壇の女たちが、翠をつくった。翠の描き方も納得いったし、翠の自然主義批判が、俺としては痛快だった。で、帰りに泥酔。(0:01 - 2015年4月20日)
◆うみひこ@tukinomichi
「第七感界彷徨」やはりすごい映画だった。最後の砂丘の場面の良さはオリジナルバージョンのフィルム上映だからこそ。音楽と共に胸に残る鮮やかさ。(18:48 - 2015年4月19日)
エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
前RTに同感。最後の場面は、鳥取砂丘に尾崎翠や深尾須磨子やらが未来的というか開放的にいるんだけど、それが、尾崎翠を探してゆきついたところ、と見えた。(0:19 - 2015年4月20日)
うみひこ@tukinomichi
同感して頂いてありがとうございます。「鳥取砂丘に尾崎翠や深尾須磨子やらが未来的というか開放的にいる」あの場面、本当に感動しました。吉行和子さん演じる松下文子の鮮やかな印象が忘れ難い。もう一度、フィルム上映してほしいです。
◆エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
『第七官界彷徨ー尾崎翠を探して』のあと、山﨑邦紀監督ピンク『変態熟女 発情ぬめり』を見た。2003年の作品だそうで、監督独特の理屈っぽいピンクには違いないが、近年ほど理屈っぽくないし、エロサービスもあって面白かった。→(0:28 - 2015年4月20日)
→下半身から見た、人間、男や女という感じで、俺は『常磐線中心主義』を思い出していた。(0:29 - 2015年4月20日)
◆エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
『第七官界彷徨ー尾崎翠を探して』についてのツーイト、酔っていてとっさに松下文子の名前が浮かばなかったのと、深尾須磨子と翠の対談の場面が印象に残ったので、須磨子の名をあげているが、翠は、松下文子と最も親しかった。(7:32 - 2015年4月20日)
エンテツこと遠藤哲夫@entetsu_yabo
昨日の<浜野佐知ジェンダー映画祭>最終日、『第七官界彷徨ー尾崎翠を探して』『変態熟女 発情ぬめり』『BODY TROUBLEー男が女になるビョーキ?』、文芸作品とピンクが一緒に上映という、めったにないものだったが、人間の上半身と下半身の分裂と統合の問題あたりが共通していたと思う。(7:38 - 2015年4月20日)
Kuninori Yamazaki @kuninori55
@entetsu_yabo お忙しい中、十条まで観に来て頂き、有り難うございました。コメントにも感謝します。98年の『尾崎翠を探して』、03年の拙作ピンク、新作の『BODY TROUBLE』を改めて眺めると、蘚の恋愛あたりが出発点だったかなと思いました。(11:10 - 2015年4月20日)
エンテツこと遠藤哲夫 @entetsu_yabo
@kuninori55 いやあ、こちらこそ、たのしませていただきました。いろいろ発見もあったし、翠と須磨子の対談のセリフは、深く刺さりました。行ってよかったです。そうですね、あの蘚の恋愛あたりで、「上半身」「下半身」ということが頭に浮かびましたが、そのあたりが関連しているかなと。(11:21 - 2015年4月20日)
Kuninori Yamazaki @kuninori55
@entetsu_yabo 白石加代子さんがこの映画に出演してくれる最後の決め手になったのが、尾崎翠と深尾須磨子の対談シーンのセリフ。これを言えるならと決断してくれました。大兄のご感想に通じるものがあると思います。なお、実際は女性作家の座談会であったものを対談に再構成しました。(11:26 - 2015年4月20日)
以上。
メモ。白石加代子さんの演技は、素晴らしかったというか、まさに迫真の演技。「思い入れ」だけではない、シッカリした世界観が根本にあるのだな。
とにかく、浜野さんと山﨑さんの作品は、文芸物だろうとピンクだろうと、「性」を正面にすえ、映画の素晴らしさ楽しさを味あわせくれる。とくに、フェチかと思うほど、映像の隅々まで目配りされていて、それも作品としての力になっていると思う。
『BODY TROUBLE〜男が女になるビョーキ?』の感想については、以前に書いた。
2014/07/24
酒とエロと街の文化とか、泥酔そして梅雨が明けた。