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2015/05/25

農水省広報誌「aff」がリニューアル。

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以前書いたことがあるように、農林水産省大臣官房総務課広報室という、イカメシイところが発行している月刊広報誌「aff」を毎号いただいている。

最近届いた5月号を袋から出したら、表紙のデザインが、これまでとだいぶ違う。タイトル・ロゴまで変わっている。つまり、リニューアルなのだ。

奥付を見ると、編集協力が、一般社団法人家の光から、株式会社KADOKAWAになっている。ははあ、年度コンペか何かで編集制作会社が変わったのか。

パッとみたところ、表紙も含め、デザインは今風のハヤリを意識しているようだし、これまでより考えてつくられているようではある。

それに、4ページもとって連載の「食文化研究家・清絢の味わいふれあい旅」が終了したのは、よかった。こんどは、「御馳走東西南北」ということで「イタリア料理シェフ・日高良美さんが訪ねる」というものだ。

前の連載は、文を書いている清絢さんの責任ではないと思われるが、旅ガイドのような要素が多く入ったりして総花的、食文化的な突っ込みも中途半端だった。今回は、文は日高さんではなく、別のライターさんが取材に随行して書いているのだが、テーマである「湘南しらす」について、よくまとまっている。レイアウトも、表紙のイメージにできている。

ほかの内容のカテゴリーは従来とほとんど変わらず、農水省の政策広報、東日本の復旧・復興の動き、農業先端技術の紹介、がんばっている農業者、トピックスなど。レイアウトのイメージは、表紙とは違う。

全体的に見せる工夫はしているようだが、なんといっても、お役所仕事というのは、あれもこれも誰にもいい顔を見せなくてはということになりやすく、グラフィックでカラフルでいろいろあるようだけど、なんだか中途半端で薄っぺらという結果になりがちだ。

つまりは、こういう総花的中途半端薄っぺらをよろこぶ読者もいるわけで、いったい、そういう読者に向けた広報でよいのか、これは広報誌の戦略レベルの問題だろうが、広報誌の場合、その戦略レベルの政策がシッカリしていないと、編集制作レベルでどうがんばっても、イマイチの結果になってしまう。ということが、ミゴトにあらわれている。

まず、誰が読んで満足する広報誌にするかとなると、「一般読者」というわけにはいかないだろう。「一般読者」というのは、顔のわからない読者であり、じつにアイマイな存在だ。やはりメインはオピニオンであり、「オピニオン像をどう描くか」になる。「一般読者」というのは、その結果、その周りに明らかになるものなのだ。そういう構造を持った広報誌。

そのへんがハッキリしてないと、やたらグラフィックでカラフル、なんだか有名人みたいなものを登場させてキャッチーな誌面をつくるということになる。これはテレビのような「一般」を相手にしたマスメディアのやりかたで、より対象を絞るべき広報誌としては、妥当とはいえないと思うのだが。

とか、キーをガチガチ叩きながら、真剣に書いてしまった。昔の話になりますが、ワタクシ、編集とかは苦手だしエライ編集者から編集向きの人間ではないと言われたこともあるし自分でもそう思うけど、広報誌戦略の立案はよくやりまして、コンペの勝率抜群、PR誌広報誌のコンテストでも受賞作を連打し、注目を集めたことがありまして、広報誌のことになると、つい熱が入ってしまう。

ま、官庁というのは、政治家や納税者のみなさまから、ケチをつけられないようにしなくてはならない、という立場に追い込まれていることもあって、なかなか絞り込みが難しい。それぞれの立場から主張し合い批判し合い共有し合っていく日本の民主主義は、まだまだ未熟ということだ。

「aff」5月号は、こちら農水省のサイトでご覧いただける。
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/

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