『Meets Regional』6月号、「駅前めし酒場と、エンテツさん。」
すでに5月1日に発売の、『Meets Regional』6月号、特集タイトルは「スゴイぞ!大正。」で、ようするに大正区の特集だ。記憶にある限り、大正区の特集は初めてではないかと思う。
おれが4月2日に一泊の出張取材をやった結果は、「駅前めし酒場と、エンテツさん。」の見出しで、4ページにわたってまとまった。
最初の見開きの写真とデザインがすごい。見出しのサブに「大正駅は、酒場のシルバーシートだ!?」とあるのだけど、地元民のシニアがズラリ並ぶカウンターが、上段の左右一杯におさまっている。
左端のおれの隣のご老人は、なんと84歳。元気で、72歳のおれなんか、まだ若造という感じだった。
この写真を、お店の人が忙しくしている厨房の中から押さえたのは本野克佳さん。本野さんとは、4月6日発売の『dancyu』5月号中華特集でも一緒だったので、雑誌は違うし、取材の場所も東京と大阪だけど、2カ月連続の組み合わせ。でも、まさか、本野さんが写真を担当するとは知らなかった。
4月2日の取材の日は、17時に大正駅で待ち合わせだった。おれは初めての土地だったので、早めに行き、2時間ほどウロウロし、あるていど土地勘をつけてから、そこへ行った。すると、本野さんがいて、ビックリ。
本野さんと最初に一緒に仕事をしたのは数年前、ミーツ別冊『酒場の本』で、大阪・神戸・京都を2泊3日で取材したときだ。その後かれは東京に移住し、dancyuなどで活躍していた。『dancyu』5月号で再会したのは、偶然だったが、また続けて一緒できて、うれしかった。
それはともかく、「スゴイぞ!大正」は、とことん「ひと」に迫っている。おもしろい。大正区というのは、ながいあいだ工場地帯だった。いまでも工場が多い。工場に勤めながら、この土地で生きてきたひとも少なくない。とくに耳目を集める何かがあるわけじゃないけど、おもしろいひとが多いし、気どらない日常の姿が、魅力的なのだ。しかし、それを説明するのは、むずかしい。そのへんのことは、柴崎友香さんが、「大正区とわたし。」で書いている。
「だけど、「大正の感じ」はやっぱり説明できない、と思う。川と海の境目で、大阪の真ん中のにぎわいからすり抜けてちょっとゆっくり過ごせる「島」みたいな、その「感じ」は実際に来てみて受け取ってほしい。」
今回の特集では、めったにないことがあった。
特集大扉には、ギターを抱えた筋原区長が登場するのだ。この区長も、おもしろいおっさんで、休みの日の時間があるときは、商店街でストリートミュージシャンをやっている。
そして、この大扉の前の見開きを、「作詞・作曲 筋原明弘(大阪市大正区長)」による「大正リバーサイド物語」の歌詞が飾っている。
大阪市の区は、それぞれ個性が強いのだけど、大正区の個性は独特で、大正区から見たら、他の大阪の地域は、けっこう「東京化」というか「中心化」「標準化」しているような印象を持った。これは、よい「発見」だったように思う。おれは、「大正中心主義」のひとに、泥酔しながら魅力を感じていた。
やはり、住んでいる人が多い街は、おもしろい。
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