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2015/05/23

コロラドの「食道楽のカウボーイ」から便りが届いた。

003

お元気ですか。
私も元気にラーメンを食べています。
今、東部ニューヨークと西海岸ロスアンゼルス/サンフランシスコでラーメンが大ブームです。
なんと私の住む、コロラドの山岳地帯にもラーメン屋が出来ました。ビックリです。

という書き出しの手紙に、少し前の「weekly LALALA」という日系人向けフリーペーパーが同封されていた。本誌は、毎週金曜日、ロスアンゼルス、オレンジ、サンディエゴ、ラスベガス、フェニックス、サンノゼ、サンフランシスコ、テキサス全域、デンバー、ニューオリンズで発行されている。

彼がこの号を同封したのは、「来場者投票による 全米一美味しいラーメン決定戦」の告知広告が載っているからだ。目下の人気はトンコツラーメンだそうで、決定戦に出場のラーメンもトンコツ系が並ぶ。投票対象店以外に、日本からの招待店が4店。

ところで手紙には、日本食の土産を山ほど持って、日本から知人が訪ねて来た話がある。その中に、東洋水産のマルチャン正麺というインスタントラーメンがあって、いつもアメリカのスーパーで売っている安物のマルチャンラーメンと全然違って「本モノの味でした」と。

彼の住むコロラドの山岳地帯の町には、以前から寿司屋もあって、寿司もはやっているのだが、「日本人の寿司職人がいなくなり、韓国と中国人や、アメリカ人の“板前さん”がにぎっていますから、アメリカの寿司はマズイ。それに古いサカナを出しますから危ない」とのことで、彼は自分で寿司をおぼえ、カウボーイを集めて寿司パーティをやっている。

魚のネタはないから、肉など、何でもまけるものはまいているのだが、それがうまい。「コツはシャリでしょう。米さえうまくたいて、スシ酢をしっかり混ぜれば寿司はうまいのだということが判りました」「ラーメンと寿司。これが、ウチのOK牧場の近況です」

いつものことだが、なんとも愉快な手紙だ。

2年前に彼が来日して会ったときに、彼は、やっとうまく炊ける炊飯器を見つけた、それが韓国製なのだという話を熱心にしていたが、それで炊いているのだろうか。

とにかく、今回の便りも、全面的に食べ物の話で、まさに「食道楽のカウボーイ」らしいが、上質なウンチクを語るよろこびではなく、ひたすら食べるよろこびにあふれていて、これがまあ、ほんとうの「食道楽」というものじゃないかと、心地よい。

004「LALALA」には、いろいろな広告が載っているが、「WA-SHOKU」という劇場映画とDVDの広告があった。「文科省選定 農水省推薦」と。

おれと同じ齢の知人は、日本食レストラン経営ではアメリカでも有数の会社で、教育担当の副社長をしているのだが、日本食ブームのおかげで、引退もできず、休暇をとって日本に来ることもままならない状態のようだ。

ま、ブームといっても、日本がどこにあるかも知らない人が多いといわれる国のことで、インスタントラーメンも昔からアメリカの食品だと思っている人の方が多いとか。ようするに、食べ物はうまければよいので、「国」や「国境」なんか、どーでもよいのだ。

005とはいえ、移住者は自分が育った味覚を忘れられず、そして移住者と共に味覚は世界を漂流し、うまいものはいろいろ変化しながら、かの地に定着する。

あなた、アメリカに渡って、日本食で一旗あげますか?

「LALALA」のバックナンバーは、本文まで、こちらのLALALAのサイトに掲載されている。
http://www.lalalausa.com/backnumber/

002

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